1-C:再建型私的整理の現状

再建型私的整理の現状・第10回(最終回):まとめ

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第10回(最終回):まとめ】

[2007夏季セミナー]と題して連載してきた<再建型私的整理の現状・全10回シリーズ>もいよいよ本日で最終回を迎えた。

●序盤では、窮地に立つ企業では、最優先事項としての「資金流失を止める」とういう「止血」について解説してきた。それと同時に、<再建>を目指す企業にとっては、「信用失墜」を避けることが命題であり、そのためには、取引先に一様に損害を顕在化させ、潜在取引先に対しても悪影響をきたす<法的整理>は避けることが第一義となってくる。そこで、再建型会社整理においては、<債権放棄>を主体とした<私的整理>をまず第一に検討することになる。

しかしながら、従来の債権放棄は、債権放棄する側の実施しない場合の破綻回収金との比較による損害発生、金融機関を主体とした倫理問題。あるいは、債権放棄を受ける側にとっても、債権放棄による課税危惧があった。そこで、登場したのが、<DES><DDS>とういう「債務を資本化」する手法である。この手法によって、従来の債権放棄の抱える問題を補い、更に再建企業の決算書を健全化させることが可能となった。

●中盤においては、その「止血」において破綻を免れリスタート地点に立った企業が、いよいよ再建策を実施するにあたって、先ずは遊休資産の効率化・売却、不採算事業からの撤退、退職者等の再構築をして、コスト削減による筋肉質な企業を早急につくる必要がある。しかし、それには資金を要する。そこで、決算書が健全化された再建企業においては、「新株発行」「社債」「DIPファイナンス」等によって、「真水」としての資金を確保し、「輸血」によって、再建策をスタートすることになることを解説してきた。

また、「特定調停法」「清算型私的整理」等、その他の私的整理の概要も解説してきた。

このように、私的整理は、当事者間の「合意」により実施されるために、非常に短期的に実施が可能である代わりに、恣意的側面がぬぐい切れない。そこで、全国銀行協会及び日本経団連によって提唱されたのが<私的整理ガイドライン>である。この私的整理ガイドラインによって、金融機関を主体とした債権放棄をする側の一定の倫理観を客観化すると共に、関係税務諸庁との課税問題に対してのコンセンサスを図ろうとしている。具体的実施件数の増加に伴って、このコンセンサスはよりグレーな部分が解消し、中小企業等にも実施されていく可能性が出てきたのが現状である。しかし、債権放棄の乱発は、日本経済の市場原理を根底から覆すことになりかねないので、日本経済そのもの健全化のためには、破綻は市場原理に任せ、政府は企業破綻に対する取引先企業・従業員に対する支援を厚くする方が健全であると私考する。

●そして終盤では、<法的整理>の概要、「合併」「事業譲渡」「会社分割」「MBO」等の<その他の事業再生手段>を解説してきた。

●こうやって総括してくると、賢明な諸氏は気付かれたことがあると思う。・・・そう、ここまでは「輸血」までであって、「施術」を施していないのである。また、ここまでは、債権者(主に金融機関)、手続き者(弁護士、会計士・税理士)主導の言わば他人任せである。再建を目指す企業にとっての大前提は、「自助努力による自力再建」である。再建をするのは、他ならぬその企業自身なのである!そのためには、<経営>をし「稼ぐ力」を取り戻さなければならない。経営者・債権者・株主・ブレーン・・・、この大前提を忘れ、各自の立場を忘れると、企業再建は成しえない。そのためにも、再建を担うリーダーは「自己犠牲をものともしない船長型のリーダー」が求められる。

このリスタートに立つこと自体に多大な労力・心労が伴う。また、債権者・取引先・株主・従業員等のステークホルダーとの関係も悪化していることが大いに想定される。そのため、トップがお飾りであるケースが多い。私見ではあるが、再建を真に目指すのであれば、経営経験のあるプロの経営者をリーダーに据えた方が、報道事例を見てもうまく行っているし、うまく行くと思っている。

会社整理は、急場の措置であり、企業体質を抜本的に変貌させるものではない。経営者はこのことを肝に銘じて、破綻以上にイバラの道であることを覚悟して実施しない限り、再建は成し得ない!

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再建型私的整理の現状・第9回:その他の事業再生手段

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第9回:その他の事業再生手段】

●これまでは、窮地に立った企業が、私的・法的の区別はあれ、どちらかと言えば、法の力を借りて、力技的にその窮地を脱する手段であった。

今回は、商取引上の手段として、企業が再生する手段を解説していく。特に、M&Aが盛んに行われる近年において、「M&Aをされる」、「事業譲渡される」と言うと、後ろ向きに考える方も多いが、それら手法によって得た金銭で次の事業投資を行うことができ、決して譲渡する側にとっても後ろ向きな策ではなく、むしろ前向きに取り組んでこそその果実が活きるということを念頭に置いてお付き合いいただきたい。

 

※合併

合併とは、2つ以上の会社が法的手続きにより契約し、合体してひとつの会社になることをいう。合併当事会社の全てが解散し、解散会社の財産及び従業員は新たに設立した会社に承継される「新設合併」と、合併当事会社のひとつが存続し、存続会社以外の当事会社は解散して、存続会社が解散会社の財産及び従業員を承継する「吸収合併」とがある。

「合併」に対する留意点として、新設合併の場合、新たに事業に必要な登記や営業の許認可を取りなおさなければならない。そのため、建設業等の過去実績が重要となってくる業種の場合は、その新規許認可の取り扱いを事前に照会した方がよい。また、大企業同士の合併においては、「独占禁止法」「証券取引法」等の関連法規を考慮しなければならない。更に、合併は「契約」によってその効力が発生し、負債も資産も一体的に取り扱われる組織的な手続きであり、会社は異議ある債権者に対しては弁済等をしなければならない。

合併は、直接的形態ばかりではなく、「持ち株会社」「三角合併」による経営統合の形態をとる場合も多い。特に、旧商法では、消滅会社の株主に交付される対価は存続会社の株式に限定されていたが、会社法制定と共に存続会社以外のものを認め、金銭その他財産の交付が可能となった(「対価の柔軟化」)。その結果、親会社の株式を対価として合併を行う三角合併が可能となった。このことは、外資系をはじめ、今後M&Aが盛んに行われる契機となることだろう。

 

※事業譲渡

旧商法では「営業譲渡」と呼称されていたもので、会社事業の全部又は一部を他の会社に移転する行為をいう。「合併」や「会社分割」のような画一的な組織的契約とは異なり、通常の売買契約の一種である。従って、事業譲渡の対象となる資産や負債を契約で自由に選択できることが事業譲渡の最大の長所である。結果、合併・分割においては、実施後の予期せぬ負債の発生が危惧されるが、事業譲渡では事前に承継対象を選択できるので、そのような危惧を未然に断ち切ることが可能である。

移転する従業員に対しては、個別の「同意」が必要であり、許認可についても取り直す場合が必要なケースもある。更に、事業譲渡に反対する株主に対しては、「株式買取請求権」が与えられている。

 

※事業譲渡を応用し、様々な形態の会社が発生している。:「SPC(特定目的会社)」「LLP(有限責任事業組合)」「LLC(合同会社)(持分会社の一種)」「匿名組合」「任意組合」等。

 

※会社分割

会社分割とは、企業が事業の一部を切り離し、新会社として独立させたり、他の企業に承継させたりする制度をいう。事業譲渡が取引上の行為であるのに対し、会社分割は、合併同様に組織法上の行為であり、資産・負債や権利義務等を包括的に移転させなければならない。合併同様、会社分割にも「新設分割」「吸収分割」とがある。

 

※MBO

MBOとは、M&Aの手法のひとつで「Management Buyout」を省略したものである。具体的には、経営者や従業員等の会社内部の者が、所属している企業や一事業部門を買収して独立する手法をいう。この場合、買収者の自己資金のみで実施されるケースは稀で、買収先企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として金融支援を受ける「LBO:Leveraged Buyout」を利用するケースが多い。また、経営者ではなく、従業員のみによる買収の場合は、「EBO:Employee Buyout」と呼ばれることもある。

MBO等の実施により、法的整理を事前に回避して、企業価値の毀損を防止すると共に、不振事業と過剰債務を旧会社に残して過剰債務の最終処理を行い、優良事業と事業継続に必要な一般取引債権者の債権を新会社に承継させて事業再生を図ることが可能となってくる。

 

※産業活力再生特別措置法

「経営資源の効率的な活用を通じて生産性の向上を実現し、我が国産業の活力の再生を速やかに実現する」ことを目的として、平成11年10月に施行された。債務整理を目的とした法律ではないが、一定の再編(分社、増資、合併、持株会社設立、債務の株式化等)を実施する企業に対し、税務上のメリットや法律手続きの簡素化等によって、コスト削減措置を目的としている。平成20年3月31日までの時限立法として策定されている。

 

※サービサー(債権回収会社)

平成11年2月施行の「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づいて、法務大臣の許可を得て設立される金融サービス会社のことで、債権の買取と、管理・回収を主要業務としている。これにより、従来は弁護士法の規定により、弁護士以外の者が債権回収を業として行うことが禁止されていたが、弁護士以外の者も可能となった。但し、債権回収業に暴力団等の勢力が参入しないように、法務大臣の許可が必要であり、その業務は厳しく監視されている。

 

<会社整理>というと、「過剰債務の整理」とだけとらえてしまいがちであるが、上記の通り、自社にとって不調な事業を必要とする他者に譲渡したり、その資金を利用して他者から必要事業を承継する等、「事業の再構築」によって会社を蘇らせることが可能な法整備がなされてきた。そのため、二代目社長のあなたは、自社の既存の商売に凝り固まることなく、「自社の発展」という更に大きな目標のために視野を広く持つ必要がある

次回、第10回は、いよいよ本夏季セミナーの最終回である。

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再建型私的整理の現状・第8回:法的整理の概要

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第8回:法的整理の概要】

●これまでは、私的整理の手法を解説してきたが、今回は、一方の<法的整理>の手法に関して、その概要を解説する。

これまで解説してきた通り、<再建>を目指す企業にとっては、先ずは「資金繰り(支出)の軽減化」そして「決算書の健全化」がリスタート地点に立つための必要条件であることを述べてきた。再建を目指しているのであるから、それ以降の経営そのものが勝負になってくるわけであるが、その前提として取引先との変わらぬ良好関係が不可欠である。しかしながら、法的整理に委ねてしまうと、全取引先への債権カットを余儀なくなれ、あるいは、場合によっては許認可剥奪となる。両方共、再建を目指す企業にとっては、取引先が離れていく要因となる。従って、再建型会社整理では、先ずは<私的整理>を第一に検討し、金融機関等の一部の債権者に対してのみ債権カット等を陳情するのが通常である。

しかしながら、DES、DDSの手法をはじめ、私的整理は上場企業を中心とした大企業型手法と言える。また、対象債権者が多数にのぼると、長期化するばかりか解決の糸口がこじれてしまうことも多い。そのため、中小企業や金融機関を多数抱える企業にとっては、法的整理を余儀なくされるケースが多い。

●法的整理は、全般的に、私的整理に比べて、「公正」「一律」という長所がある代わりに、「高額費用」「長期化」「対外的信用激減」という短所をあわせ持つ。次に、具体的手段とその概略を記載する。

※民事再生法(再建型)

会社倒産手続きを迅速に進め、倒産に伴う資産の劣化や従業員の離散をくいとめ、企業の早期再建を促進することを目的として、平成12年4月に従来の和議法の制度的欠陥を是正する形で施行された。中小企業を主な対象としているが、全ての法人・個人両方共利用可能である。また、現在の経営陣が引き続き経営にあたることも可能である。

 

※会社更生法(再建型)

民事再生法同様、再建型の法的倒産手続きである。民事再生法との主な違いは、会社更生法は株式会社に限定され、原則、従来の経営者は退陣し、管財人(ひいては裁判所)の管轄下に置かれます。また、租税債権や担保権も原則会社更生手続きに従うことになります。再建計画も、営業譲渡も視野に入れて構築されるので、再建型とは言え、精算との境目に位置します。従って、民事再生法に比べて、もっと大きな枠組みで債権をとらえないと対象企業が再建策を組めない場合に適用されます。そのため、大企業に多いのが特色です。

余談ですが、会社更生法では原則経営陣は退陣しなければなりません。中小企業の場合は、社長が交代すると取引継続に影響がでるケースも多くありますので、現経営者が続投可能な民事再生法を適用するケースがほとんどですが、大企業においては、現経営者が続投すると、かえって取引、信用失態となることも考えられます。また、現経営者の保身とも受け止めかねられません。その代表事例が、<マイカル>でした。

 

※破産法(清算型)

破産手続は、清算型の法的整理で、自然人または法人等について、支払不能または債務超過とういう破産原因がある場合に、利害関係人の申し立てにより、裁判所の決定で開始される手続きである。精算型であるので、事業をストップし、全ての財産を換金し、債権者へ公平に配当する制度である。

 

※会社法による特別精算(精算型)

会社が、合併・破産以外の事由で<解散>すると、<精算手続>に入ります。そして、精算手続を経て、会社の法人格は消滅します。しかし、その精算会社に債務超過の疑いがある場合などにおいては、通常の清算手続では、公正な遂行に支障が生じるおそれがある。そのような場合、精算手続に比べ、強い拘束力を持つ<特別精算手続>に移行し、裁判所の後見の下処理されることとなる。

以上、本日は法的整理の概略を解説した。次回は、その他の事業再生手段について解説する。

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再建型私的整理の現状・第7回:私的整理ガイドライン

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第7回:私的整理ガイトライン】

●これまで解説してきた通り、<再建>を目指す企業にとっては、私的整理が望ましい。それは、法的整理では、全ての債権者が対象となり、かつ、債権者に対する弁済内容も画一的になってくる。そのため、肝心の商取引先にも債権カットを余儀なくさせ、その結果、取引打ち切りという危惧がつきまとうからである。また、法的整理では、時間と費用を要し、場合によっては許認可剥奪の可能性もある。そのため、再建を目指す企業にとっては、金融機関を中心とした金融債務のみを債権放棄(免除・減額等)する私的手段が主流であり、その方策をこれまで解説してきた。

一方、「私的」ということは、恣意的にも繋がる危惧があり、債権放棄をする側の株主等への客観性、倫理観に対する妥当性が問題となっていた。また、債権放棄者は金融機関が主力となるが、従来の個別ごとの解釈・方策では、一部の債権者の反対によって長期化したり、頓挫するケースも多く、法的整理への移行を防ぐために、メインバングへのメイン寄せを恐れて私的整理へ踏み切れないという実情があった。更に、債権放棄を受ける側にとっても、対象債権が課税対象とみなされて、莫大な課税を受けては元も子もない。

このような、私的整理の弱点を解決し、円滑に私的整理を実施するために、「私的整理ガイドライン」が策定された。

「私的整理ガイドライン」は、平成13年(2001年)9月に「全国銀行協会及び日本経団連」によって、私的整理に客観性ルール性を付与すべく策定された。その後の平成17年(2005年)3月に、「Q&A一部改訂」版が策定さた(上記関係先のホームページ等で入手可能ですので、興味のある方は読んでみて下さい)。

前提として、債権者への返済猶予や減免を要請する前提として、経営者責任(退任)・株主責任(減増資による旧株主のシェアの低下)を明確化し、債務者自身の自助努力が要求される。

概略としては、対象となる一部の債権者との協議であるが、大筋としては法的整理の民事再生法に似ている。

先ずは、私的整理ガイドラインの対象として、「自力再建が困難」ではあるが、債権者の協力により「再建の可能性があること」、「法的整理」では信用に著しく毀損が生じ再建の支障となることが条件となる。

これらを弁護士、公認会計士・税理士等による客観的なデューデリジェンス(対象企業への詳細調査)によって、「妥当性」が判断される。そのデューデリジェンスの内容をもとに、「債権者会議」や説明会を実施し、最終的に私的整理内容の「合意」となっていく。なお、申し立て直後に「一時停止」という措置をとって、一部債権者の抜け駆けを防ぐ。

●私的整理ガイドラインに基づくメリットとしては、「税務上の取扱い」判断がよりルール化されたために、事後の課税対象(否認)になりづらくなったこと。各債権者間で「異なる」カット率を取り決めることが可能。同意をしない債権者を「除外」して、再建計画を成立させることが可能。などである。

一方、デメリットとしては、メインバンクを典型として、主要債権者は、その他の債権者よりも負担を強いられることが多く、そのため、「経済的合理性が伴わない」内容で着地することが多いという点である。

●私的整理ガイドラインは、債権放棄を内容とする私的整理を行う場合の<ルール>を定めたものではあるが、あくまで金融機関等の債権者が自発的に遵守することが求められているだけで、法的拘束力を伴うものではない。しかしながら、従来、思い思いに行ってきたがために、市場や税務署等の関係先とのコンセンサスをとることなく実施されてきたことに比べれば、かなりの前進であると思う。

2001年9月策定以降、福岡ドーム(2004年2月)、三井住友建設(2005年6月)など、20社以上の会社が私的整理ガイドラインを利用しており、今後は非上場企業へも波及していくことが予測され、私的整理に関する金融界・産業界の一般的コンセンサスとして機能することが期待されている。

次回は、「法的整理の概要」を解説する。

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再建型私的整理の現状・第6回:特定調停法・清算型私的整理

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第6回:特定調停法・清算型私的整理】

●これまで、再建型私的整理として、その代表格である<DES><DDS>の解説を行ってきたが、今回は、その他の私的整理の概要を解説する。

 

●<特定調停法>

特定調停手続きは、平成12年2月施行の「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」による手続きを指す。

特定調停手続は、民事調停の一種であり、債権者と債務者の「合意」により、その効力は調停の当事者間にのみ及ぶ

簡単に言うと、債権放棄・利息減免を中心とした債権者・債務者間の「合意」を裁判所が立証する手続きである。厳密には、法の関与を受けるが、実質は一部の債権者との協議による私的側面の強い手段と言える。

特定調停法のメリットとしては、申し立てが開始すると、サラ金・クレジット会社等からの請求は、「貸金業の規制等に関する法律」で禁止されているため、支払請求・取立てがストップする。また、他の手続きに比べて、比較的に、簡単・短期・少額費用で実行できる。あるいは、調停手続き後の利息減免によって、従来の利息を元本返済に回すことも可能になる場合もある。このように、支払い不能に陥る可能性のある債務者等の経済的再生を図る手段と言える。

一方、デメリットとしては、銀行系ローンのように、「法定内利息」で借入している場合は、借入金の減免は見込めにくく、一定の収入があるからこそ今後のリスケジュールが可能なわけであるから、無収入、あるいは、一定の収入が見込めない債務者にとっては向かない制度であると言える。

 

●清算型私的整理

清算型私的整理は、事業を継続しながら、そこで得られる収入により返済を進めていく再建型整理とは異なり、会社の「清算」を前提に進行していく。すなわち、会社の「資産」を売却、現金化し、債権者に配分をし、会社(事業)を廃止する行為である。法的整理の「破産」手続きによらない、任意整理とも言える。理論上は、最終残金があり得るが、実情は、債務残がなお残るケースが殆どである。

私的整理の一種であるので、当事者間の「合意」があれば、比較的短期間でスムーズに実施できる。また、経営者等のその後の人生を考えると、法的整理では経営者個人のリスタートに支障が生じるケースが多いが、私的整理であるので、経営者個人にとってもその後のリスタートが切りやすい手段と言える。

但し、全債権者間での「公平な分配」という側面からは、客観性・中立性に欠けるために、不正行為や恣意的配分が起こりえる。そのために、かえって長期化したり、取り付け騒ぎ等の余計なトラブルが発生しやすいリスクがある。

●このように、私的整理を検証してきたが、債務者にとっては、「債権放棄」が何よりも手っ取り早く、ありがたいのはもちろんである。ただし、その主力は金融機関であり、金融機関にとっての株主・預金者・一般貸付先、さらには、金融機関の公共性を鑑みたときに、本来、債権放棄は成されるべき手段ではない。経済取引の原則からも同様であり、安易な債権放棄の横行は、市場そのものに不信感を与える(結果、何れ日本も、世界の常識である「現金」「先払い」の商取引となる日が近いと思われる)。一方、だからと言って、実施しなければ日本経済が沈没寸前であるという状況があった。そこで、そういう金融機関の債権放棄に対して、一定のコンセンサスを計るために登場したのが「私的整理ガイドライン」である。

次回は、その「私的整理ガイドライン」について解説する。

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再建型私的整理の現状・第5回:新しい資金の導入

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第5回:新しい資金の導入】

●再建型私的整理を実施する企業においては、先ずは「止血」が必要であり、その方策として、「債務と資本(株式)を交換する<DES>」と「債務を別の債務(劣後債務)へ転換させる<DDS>」が主力であることを述べてきた。

この間、もちろん全ての債務が「チャラ」になったわけではなく、また、税務上認定される範囲で、文字通りの債権放棄の実施と見合いの不良債権処理をも同時に実施し、対象企業の決算書を身軽にするのが通常である。少しそれるが、債権放棄と税務認定不良債権の処理が同額であれば、「債権放棄(利益)=不良債権処理(損失)」となって課税対象にはならない。しかし、一般に思われる不良債権処理と、税務上認定される範囲とは異なるので注意を要する。よくある事例としては、売掛金・貸付金が残っている債権先からの回収が実質上不可能と判断されても、税務上要件不備により否認されることが大いに想定される。会社整理は法律案件なので、弁護士が主導となって進むが、専門弁護士でなければ意外と税務に弱い。従って、税理士の発言を確保し、十分に協議することをお勧めする。

話を戻すが、この時点では、対象企業の「見栄え=決算書」が良くなったに過ぎない。後に影響するのは、せいぜい、借入金減少による金利負担減・連帯保証人の負担減だけであり、企業に「稼げる力」が付いたわけではない。

ところが、この時点では、旧経営陣が引責辞任していたり、旧株主が権利減少・剥奪されていたりして、一気に士気がトーンダウンしていることが想定される。特に、経営陣は連帯保証をしているケースが多いが、その連帯保証から外れることに目が行く。このことを肝に銘じて、「再建」のリーダーは、自己犠牲とエネルギーを持った人物に任せない限り、真の目的である再建は成し得ない。

そして、その第一歩が、「新規資金の確保」となる。

販売先の確保は「当たり前」であるが、同時進行して、コストダウンによる利益増を急速に進める必要がある。ところが、みなさんも経験があるように、赤字事業からの撤退、遊休資産の売却、退職等々の手当てに「資金」を要するのだ。ましてや、信用不安を一掃するためにも、「現金」による仕入れを増やさざるを得なくなる。

●そこで、「止血」によってリスタート地点に立った企業が、「輸血」としてどういう「新しい資金」確保を行っていくのかを代表事例を挙げて解説する。

①新株発行

DESも新株発行ではあるが、対象企業にとって、資金増になるわけではない。そこで、あらためて「新株」を発行し、資金を確保するケース。但し、破綻すれば株式価値は、実質ゼロとなるように、旧株主責任として、旧株は、限りなくゼロ査定されたうえで、新株発行となるケースが殆どである。

②社債

社債発行には、新株発行以上にハードルが高いため、現実には今回のようなケースでは稀である。また、株式が返済義務のない資金に対し、社債には必ず償還期日が訪れてくることをお忘れなく。

③DIPファイナンス

金融機関からの借入である。決算書が健全となることによって、金融機関の貸し出し可能企業へと変貌し、再融資を受けるのである。特に、法的整理においては、<DIPファイナンス>と呼ばれる融資を受けることが殆どである。DIPとは、Debtor In Possessin の略で、占有継続債務者を意味する。元々は、アメリカ連邦倒産法第11章(チャプター・イレブン)をモデルにしている「優先債権」である。従って、通常、金融機関の貸付金は、抵当権等の別除権以外は、一般の債権者同様の普通債権扱いであるが、DIPファイナンスにより対象企業のリスタート後に融資した貸付金は、以降対象企業が破綻した場合は、普通債権に対して、優先して配当されることになる(全てそいう扱いを受けるわけではなく、一定の事前要件が必要である)。但し、米国のDIPファイナンスは、他の優先債権(税務、労働等あるいは別除権)よりも優先であることが多いが、日本においてはそこまでの法律限定がなく、グレーゾーンである。そういう意味では、再融資する金融機関にとってもリスクは軽減されるが、ゼロではない。

●これまで、再建型私的整理企業の取る手法そのものを解説してきたが、より理解を深めていただくために、次回以降は、他の会社整理の概要やその他の事業再生手法の概略を解説していく。

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再建型私的整理の現状・第4回:DDS

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第4回:DDS】

●破綻寸前の企業の起死回生策としての<債権放棄>。従来の文字通りの債権放棄では、債権放棄する側の企業利益、倫理問題が発生し、債権放棄を受ける側にとっても課税問題が生じた。そこで、編み出されたという表現がしっくりくるが、「負債」を「資本」へ転化させる手法が策定され、現在の再建型私的整理の主力となっている。

具体的には、<DES><DDS>という手法があり、昨日は、「債務(Debt)と資本(Equity)を交換(Swap)するDES」について解説した。

本日は、もう一方のDDSについて解説する。

<DDS>とは、<Debt Debt Swap>の略である。

すなわち、「債務(Debt)」と別の「債務(Debt)」の「交換(Swap)」である。

具体的には、現在ある「対象債務」を一定基準に則り、その企業の「別の債務」に振り替える。別の債務とは、「劣後債務」である。劣後債務とは、通常の債務(買掛金、借入金、労働債務、税務関係他)よりも、支払いに一定猶予があったり、対象企業が破綻した場合の支払優先順位が下位の債務をいう。

上記により、債権者は、対象債権を現物出資したことと同等とみなされ、対象企業においては、「負債」が減少し、その分を「資本」に組み込む会計処理が可能となった。

結果、対象企業においては、返済猶予ができ、資金繰りを楽にすることができると共に、対象負債が資本化することによって、バランスシートも改善され、以降の商取引や金融機関との再借入が実行前よりも良好になる。但し、DES同様、実質上の資金が増えるわけではないので注意。

●DESとDDSは、両方共、会計上は負債を資本化することであるが、実質上は明確に異なる。

DES「株式」との交換であるから、実質上返済義務がない。また、債権者が享受する果実も、流動性(譲渡性)と株価上昇による利益の期待。そして、株主としての権利行使である。

一方、DDSは、劣後とはいえ「債務」には変わらない。従って、「返済義務」が生じる。減免はされるが「金利」も発生するのが通常である。また、債権者も株式を取得とるわけではないので、株主ではなく「債権者」の立場に変動はない

それ故、債務者、債権者共々、この違いを十分認識したうえで選択する必要がある。また、他の債務者、他の株主は、どちらを実行するかを知り、それによって対象企業の今後がどう進んでいくのかを予測する必要がある。

特に、「株主の権利」という側面においては混同しやすい。DESは、株式との交換であるから、既存株主の権利が薄まり、新規に債権者が株主として発言力を強めてくることが想定される。一方、DDSは、債務を劣後化するだけなので、債権者は株主ではない。しかし、実情は債権者という立場での発言力は絶大であることが予測されるが、そうなると株式会社の根幹である株主の権利が形骸化してしまう。

●近年の制度改正によって、再建型私的整理を容易にした<DES><DDS>。しかし、この時点では、対象企業の支出を押さえ、会計上の見栄えが改善されたに過ぎず、外科手術で言えば「止血」をしている段階である。しかし、対象企業が再建をスタートするにも、「真水」と言われる「新規資金」が必要となってくる。事業撤退、遊休施設の廃止、退職等々、リストラをしてそれ以降のコスト削減を目指すにしても、目の前の資金が必要になってくるのである。

DES、DDSという「止血」によって、会計上のバランスシートが改善された企業は、次に、新規資金という「輸血」を必要とする。その手法について、次回解説する。

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再建型私的整理の現状・第3回:DES

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第3回:DES】

●企業が、その破綻の直接的原因となるのは「資金不足」である。経営意欲の喪失という自主整理を除けば、最終的には資金不足で破綻する。そのため、会社整理の第一段階としては、対象企業の資金繰りを楽にすることが主目的となる。回収条件を良くすることも資金繰り改善にはなるが、破綻手前の企業にとっては時間が無い。また、殆どのケースでは、回収の改善(短期回収・現金化)、支払いの改善?(手形化・延滞)は既に実施されたうえでの資金不足となっている。そのため、残る最終手段が<債権放棄>となってくる。人間で言えば、大ケガをした患者に対して、輸血よりも先ずは止血をするのである。そして、手術に要する時間を稼ぎ、施術、リハビリへと繋げていく。

「私的」と名が付くように、私的整理は、あくまで商行為上の「任意の合意」によって約される。従って、全債権者を対象とぜず、一部の債権者との合意が可能である

法的整理を実施すると、「法の支配下」において「一律」に実施する必要がある。そのため、時間を要し、何よりもその後の商行為に対する信用失態が大きく、業種によっては、許認可失効となり致命傷になりかねない。一方、私的整理は、あくまで商行為上の取引なので、相手先が事前に合意していれば、短期に解決し、営業上のリスクが少なくて済む。そのため、近年実施されるケースの多くは、金融機関や一部の大口取引先から債権放棄を取り付け、残りの一般債権者には迷惑を掛けないことによって、その後のリスタートをスムーズに行う手法が採られている。

●ところが、従来の文字通りの債権放棄には、ふたつの問題点があった。

ひとつは、債権放棄する側の企業利益と倫理問題である。

債権放棄をする側も、殆どは企業であり、そこには「株主」がいる。ましてや、主力は「金融機関」であるので、「一般預金者」がいる。更に、「一般貸付先」への倫理問題が発生する。対象企業が破綻しても、僅かながらでも「回収金」を得ることが可能なケースが多い。ましてや、金融機関ともなると、「抵当権」等の別除権や、「連帯保証」から得られる回収金もある。従って、債権放棄する企業も企業である以上、対象企業が破綻したときにでも得られるであろう回収金以上に将来「利得」を得ることができなければ、債権放棄をする側の企業経営者は、自身の企業に対して「損失」を被らせたことになり、自身の企業の株主等から訴えられかねない。また、金融機関であれば、一般の貸付先との比較によって、「なぜ、その企業の債権放棄をする必要があるのか」が明確でないと、倫理問題へ発展してしまう。例えば、「1兆円企業の債権1,000億円を放棄するのならば、1億円企業の1千万円の債権放棄を実施するのが公平だ」との問いに対しての倫理的、あるいは、その企業の活動・利得に対しての明確な回答を持っていなければならない。

そしてもうひとつは、債権放棄される側の税務問題である。

個人に「贈与税」が課税されるが如く、法人であっても債務免除は「利益」となり、課税対象となってくる。そもそも、対象企業の資金不足解消のための策として債権放棄を実施するわけだが、債権放棄をしたからといって、資金繰りは改善されるものの資金が増えるわけではない。そこに課税されると、追加資金が必要となって、当初の目的が達せられない。しかも莫大な額が想定される。

●そこで、考えられた手法が、<DES><DDS>という「負債と資本を付け替える手法」である。これらの手法により、従来の債権放棄という、言わば「チャラ」にする手法において問題となっていた「債権放棄する側の企業利益と倫理問題」、あるいは、「債権放棄される側の税務問題」を解消しようとしている。更に、実質債務超過であることが殆どの対象企業のバランスシートを健全化させ、営業上の取引信頼回復や、金融機関への再借入を可能にさせようとしている手法である。

本日は、DESの解説をし、次回DDSの解説をする。

<DES>とは、<Debt Equity Swap>の略である。

すなわち、「債務(Debt)」と「資本(Equity)」の「交換(Swap)」である。

具体的には、対象債権と、対象企業の「株式」を交換する。株式となるわけであるから、対象企業においては実質返済義務がなくなり、「負債」が減り、「資本」が増強されることになる。

結果、事実上の債権放棄が成され、対象企業においては、バランスシートも改善される。また、単純な債権放棄ではないので、課税対象にもなりにくい(100%ではないので、第7回に最近の傾向を解説します)。

また、債権を有する側にとっても、「株式」なのであるから、権利を売却するという「流動性」が生まれ、更には、将来、対象企業が好業績をあげ株価が上昇すれば、株式売却益によって、債権を有する側の「利益」にもなる。一般的な投資行為に類する形態である。更に、「株主」なのであるから、株主として、役員選出等の経営進言が正当に可能となってくる。

●このDESにおける実施問題点が2つある。

ひとつは、債権を有する側が、何れ株式売却益を得る想定であるということは、対象企業の株式に「市場性・流動性」がなければならない。必然と、「上場企業」が対象となってくる。また、流動性があるということは、いつ何時株主が入れ替わるやもしれず、経営の不安定に繋がる可能性がある。また、多くの場合は、金融機関であるが、金融機関には「5%ルール」という法律があり、金融機関の性質上、一般企業の株式を5%以上保有してはいけないとうルールがある。また、同じ金融機関でも、信用金庫等は、別の法律を根幹としているので、そもそも一般企業の株式を保有できないので、当手法は選択肢外となる。

もうひとつは、「既存株主の権利」である。資本が増強されると言っても、実質上の資金増はゼロなので、既存株主の権利・資産価値が減少する。そこで、会社法制定時に、「種類株式」の発行が可能になったことを受けて、DESによる株式は「優先株」として、「普通株」よりも破綻時の配当が優先されていたり、通常の配当金が多かったりする一方、株主としての権利行使が一部なかったりして、見入りを厚く、権利を薄くする内容の株式発行が多いのが実情である。何れにせよ、既存株主の権利・資産が希薄化することは避けられないが、既存株主にしてみても、破綻により価値がゼロになるよりは良いと言うことになる。

次回は、DDSについて解説する。

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再建型私的整理の現状・第2回:参考図書

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第2回:参考図書】

●物事を探求するうえで、何と言っても最適なのは<読書>です。「知る」だけならば、インターネットを利用するのが最適ですが、体系的に「理解」するとなると読書です。そして、「実践」「人に尋ねる」。これを繰り返すことで、二代目社長のあなた自身の力となっていきます。但し、人に尋ねるときには、「考えて」から実行して下さい。実践でなにより大切なのは、考えるとういうことです。理論上の答えがあっても、あなたに最適な解決策かは分かりません。考えることによって、自分が実行する場合の自分自身の問題点が見えてきます。そこを先人に尋ねるようにしましょう。

また、読書の初めの段階では、「短期的」に、「集中」して分量を読んで下さい。同じ分野の書物を短期的に大量に読むことによって、「流れ」「原理原則」が見えてきます。そのうえで、再びじっくりと読んで下さい。

本セミナーに際し、参考となる図書を紹介します。

1日目→流し読み。とにかく最後まで目を通す。1日という期限を決めて、その期限内で可能な流し読みをする。

2~3日目→少し読み込む。・・・次の書籍へ。

と進んで、週2冊のペースで進み、途中からは、再びじっり読む書籍と並行して下さい。今回紹介する書籍量であっても、先ずは、1~2カ月(できれば1カ月)で読破して下さい。社長にとって、読書は目的ではなく、実践を模索するための手法です。従って、読書そのものに、過大な時間を費やすことなく、「実践」に時間を掛けなければならないからです。

 

『会社法』 神田秀樹氏著:本ブログで紹介済

会社経営の根幹法は、「会社法」である。従って、大雑把にでも会社法で定めた内容を把握したうえで会社経営を行っていかないと、違法行為をしてしまうことが多々ある。また、会社に変化をもたらす戦略をとる場合も、法人である会社の決まりごとを遵守したうえで実施することが不可欠となる。法を無視した経営者は、今後は必ず淘汰される。辞書のように、机の脇に置いておきたい一冊です。

 

『会社の値段』 森生明氏著:紹介済

会社は物ではないが、会社には経済的価値がある。経済的価値があるからこそ、株主が投資をし、取引先が関わってくる。更に、現在以上の経済価値に発展する可能性があると判断される場合にのみ、「再建」という支援が可能となってくる。そういう意味では、二代目社長として「会社とは何ぞや!」とういう土台を一考するにも良い書籍です。

 

『事業再生』 高木新二郎氏著:未紹介

会社整理は、法律の動向によって大きく左右される。弁護士であり、産業再生機構再生委員長も務めた著者によって、事業再生の大筋が見えてくる。また、法律や政府が進めようとしている方向性が見えてくる。

事業再生―会社が破綻する前に (岩波新書)

 

『企業再生』 許斐義信氏編著:紹介済

慶應大学教授としての学術的視点からと、僕も所属する<日本事業再生士協会>理事長という実務家の立場の両面から、現在の日本における企業再生手法を分析・解説している。同類の書籍の中でも、その具体的掲載企業数は群を抜いており参考になる。

 

『マッキンゼー・事業再生』 本田桂子氏他著:未紹介

著名コンサルタント会社<マッキンゼー>における、事業再生現場・手法を紹介した書。

マッキンゼー 事業再生―ターンアラウンドで企業価値を高める (The McKinsey anthology)

 

『企業再生バイブル』 立川昭吾氏著:紹介済

多くの書が、上場、大企業を中心に記載されているのに対して、中小企業の再生を実務とする著者による、中小企業再生の「生」の現場を記載している。手法論に留まらず、再生過程においてどのような日常問題が発生し、それをどう解決していくのかがとても参考になる。

 

『M&A事業再生用語辞典』 藤原総一郎氏他共著:紹介済

最新の法制度において、専門弁護士による重要項目の解説書。単語の辞書ではなく、解説集であるので、重要語句から事業再生のポイントが見えてくる。

 

『DES・DDSの実務』 藤原総一郎氏著:未紹介

現在の、私的整理の代表格である<DES>と<DDS>に関する超実務書。

DES・DDSの実務

 

『倒産させないための私的整理による会社再建Q&A』 平野敦士氏、濱田康宏氏共著

法律的内容はもとより、税務・労務問題等に関しても言及しているので、体系本では見えてこない具体的波及問題や、それに対する解決策が見えてくる。

倒産させないための私的整理による会社再建Q&A

 

●全て購入するとなると結構な金額になりますので、リンクしてあります僕の紹介記事や、アマゾンの紹介を参考にしてみて下さい。また、最近では、大型書店で立ち読みならぬ、座り読みコーナーを設けていることが流行っているようですので、そこでじっくり読んでみて下さい。図書館は、この手の法律書に関しては在庫が少なく、最新版でないことが多いので、今回の主旨としてはおすすめできません。

但し、図書館の雰囲気は大好きなので、自分の読みたい本を持参して、図書館で読むということを僕はよくやっています。

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再建型私的整理の現状・第1回:総論

《二代目社長アドバイザー》

[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状・全10回]

★【再建型私的整理の現状・第1回:総論】

●現在、僕は、ターンアラウンド・マネジャーとして、日本事業再生士協会に登録している。

巷では、学生の長期夏季休暇、企業においてもお盆休みのところが多いと思われる。学生の方ならば、夏季セミナーにでも参加して、二学期の準備に取り掛かる時期である。そこで、今回、[2007夏季セミナー:再建型私的整理の現状]と題して、ブログ上でセミナーを開くことにした。ブログ上なので、1回の分量を適量にし、その分、回数を10回設けた。

私的整理という名目ではあるが、「法律」とにらめっこしながらの対処になるため、その分野での法律関係が主体となるが、経営コンサルタントとして、「真に再建するとはどういう状態なのか」という目的を念頭に置きながら解説して行きたいと思っている。

また、上場企業等の大企業が中心の処置となるが、昨今の現場では、非上場企業にも適用されるケースも見られ、中小企業においても蚊帳の外ではなくなった。更に、あなたの会社が健全であっても、取引先がどのように変化していくのかの一助にもなり得ると思う。

●さて、日常的に使用する「倒産」という語句は、法律用語ではない。

社長業という立場から見た場合の倒産とは、「経営意欲の喪失」である。一方、法律の世界における倒産とは、「銀行取引停止」・「任意整理」のような事実上の倒産と、「会社更生法」・「民事再生法」・「破産」・「特別清算」等の法的整理がある。

バブルがはじけて、企業倒産が相次いだように、かつては企業にとっては、経営が立ち行きならなくなった場合は「倒産」しかなかった。ところが、それでは日本経済そのものが破綻する懸念があったために、国策として「再建」型の法整備がなされてきた。

現在、会社整理には「法的整理」「私的整理」があり、更に「再建型」「清算型」がある。今回のセミナーでは、「再建型の私的整理」、すなわち、法の支配下(法の認可・法の規制等、法と無縁ではない)によらない、自力型の再建へ向けた企業の取る方策を中心に行っていく。

●私的再建を目指す企業にとっては、ふたつのステージをクリアしなければならない。

ひとつは、「債務」を縮小してのリスタートである。早い話が、債務の放棄を債権先にお願いする行為が行われる。但し、あくまで私的なので、民事再生法のように、一律でなくてもよく、昨今の事例では、金融機関の借入を放棄してもらい、取引先の債権はそのままというケースが多い。過去にもいわゆる「債権放棄」がなされたケースもあったが、私的な債権放棄は、債権放棄をする側の経営陣にとっては、対象企業が破綻しても得られるであろう回収金や倫理観等の問題で、債権放棄をする側の株主・債権者等から訴えられる可能性があった。また、債権放棄を受ける方も、私的であるから企業は継続していることになるので、その債権放棄を利益と解釈され、課税対象となることが考えられた。そのため、私的整理が行われにくい環境にあったが、近年の環境変化によって、(グレーな部分はまだ多いが)可能となったために、私的整理も多用されるようになってきた。

しかし、この時点では、まだ、「債務の圧縮=資金繰りが楽になった」という状態に過ぎず、対象企業の根本的問題点である「稼げる企業」へと変貌した訳ではない。金利負担や返済金額の問題であれば、商取引上の変更が可能であるが、それ以上に利益を稼げない体質が故に私的整理が実施されるわけであるから、対象企業にとっては、「リスタート地点」に立ったにすぎない。

●従って、次のステージでは、いかに稼げる企業へと変貌するかという「事業再生」に真価が問われる。「企業再生は事業再生であり、事業再生は人の再生である」と僕は思っている。

最初のリスタート時点までに発言力を持つのは、債権者(株主は実質資本が無いケースがほとんどなので、実質の発言力はほとんどない)、及び、手続きを実施する弁護士・税理士等である。

そして、多くのリスタートをきる企業においては、従来の責任を明確にするために、株主の交代・経営陣の交代が行われたうえで、次の段階に入る。そこからは、「経営」をして本業を成長させなければならない。ところが、この時点においても、最初の段階で発言力の大きかった債権者・手続き者が継続して発言力の大きさを保つと、次の段階における新株主、新経営陣との「権利と義務」までが混在し、能力が発揮されないという事態に陥る。報道される、うまく行っている企業を思い浮かべれば明確なように、新社長は「プロ」の経営者が担い、債権者は「株主」としての地位に就き、その範疇で発言する。「経営と所有の分離」を明確にさせている。一方、うまく行っていないと思われる企業においては、それらが「混在」してしまっている。更に、うまく行っている企業においては、社員・取引先等のステークホルダーとの関係が良好であり、再建によって苦労は掛けるが、目的や目標を公開・共有し、その成功あかつきには、どのような果実があるのかを公約している。

自力で稼ぐ体質と、利益が出るコスト体質に再構築させるのが真のリストラクチュアリングであり、それは人間の力によって行われる。机の上ではなく、人間力が成否を決する!

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