どうなる!北陸の建設業界
《リハルの視点》
★【どうなる!北陸の建設業界】
今朝(7月6日)の地元紙・北國新聞の記事。
●石川県のゼネコン(総合建設業)最大手である真柄建設が、昨日(7月5日)大阪地方裁判所に民事再生手続きの開始を申し立てた。
負債総額は、北陸三県の企業破綻としては過去10年間で最大の348億円。
今後は、上場を廃止するという。
石川県のゼネコンとしては、唯一の上場(1部)企業であり、ピーク時には約1,100億円の売上を誇り、1,000人ほどの社員が勤めていた企業である。
ところが、この建設淘汰の波に飲まれて、2008年3月期の売上は844億円、従業員数も538人まで激減していた。
しかも直近の決算において、大阪支店における粉飾決算によって、実際は大赤字なのに黒字決算とし、そのことが判明した引責として、僅か2カ月前に創業家の社長が引責辞任を表明したばかりであった。
そして、つい数日前に行った株主総会において、最大の支援先である北國銀行(地元最大手の地銀)から新社長を迎えた矢先であった。
●北陸発祥のゼネコンとして、福井県の熊谷組、富山県の佐藤工業といった業界大手が相次いで破綻(再生途中)した。
その2社は、発祥は北陸であるものの、東京に拠点を移した全国区である。
ところが、つい1カ月前の6月9日に、富山県の非上場としては最大手の林建設工業が過去10年間における富山県下の破綻としては3番目、建設業としては最大規模となる約66億円の負債によって民事再生を申請したばかりである。
林建設工業は、富山県の地元の雄として、富山県建設業協会長の出身企業でもある。
今回の真柄建設も、上場企業とはいえ、主力を北陸に置くいわば地元企業であり、先日役員改選がなされたとはいえ、これまた石川県建設業協会長の出身企業であった。
建設不況と叫ばれて10年以上経過しているが、建設業は地元に根付き、地元の社会整備と地元雇用を創出するうえでの最大業界である。
その地元最大手、最老舗が相次いで破綻したのである。
●建設業は、請負産業である。
従って、破綻を表明した現在においても、建設中の現場が多数あり、また完工後であっても保障期間中の物件となると莫大な件数になる。
発注者(施主)からしてみると、一般的な品物とは違い、施工先によって意匠力や施工力といった完成品の仕上がり状態が違ってくる。更に、施工先の経営が安定していないと、施工途中で頓挫したり、本来無償で受けられる瑕疵保証を受けられなくなってしまうのである。しかも、民間ばかりか、公共事業にも多く携わっている業界であるので、そのツケの一部は住民に回ってくることになる。
そいいった流れの中、発注者としてはより「経営安全」な大手企業に発注する傾向が強まり、小型物件であればより「廉価な直接施工企業」に発注する流れが加速している。
そのような流れの中、経営安定力においても、価格においても、年商数十億~数百億規模のいわゆる「中途半端な企業」がバッタバッタと破綻しているのである。
●本件は、過去10年間においても北陸三県最大規模の破綻である。
つまり、報道で目にすることはあっても、実体験としては北陸に住む人々にとっては未曾有の領域となるのである。
債権カット率はどうなるの?
スポンサー企業は現れるの?
期日前手形、未払い代金・賃金・・・どうなるのだろうか?
地元金融機関は、協力会社(下請企業)を支援するのであろうか?
施工中の物件は継続するのだろうか?・・・週明けから現場に行くべきか、手を引くべきか?
大手企業の破綻であっても、新聞紙上では慣れきってしまっているくらい日常茶飯事の現代。
ところが、いざ自身が納入企業(債権者)となったら、どんな対応をとればいいのだとうか?・・・本件の債権者は、約2,000社(者)と予測されている。
全国区の報道は、破綻企業を注視した報道が目に付くばかりで、債権者については皆目ふれていない。
不安が募る。
●僅か2カ月前の創業家社長の引責辞任。
彼とは、僕の前の住まいが同じマンションであり、歳も近かったので、商用というよりも個人的な付き合いであった。
とても誠実な人間である。
今回の辞任も、創業家の責務として、まだまだ前途有望な人生と引き換えに”火中の栗”を拾いに行ったのだ。
そして、創業家という「個人」よりも「会社存続」を決断した僅か数日前の株主総会。
支援主力金融機関(北國銀行)から社長を迎えることが決まり、主力金融機関(北國銀行・北陸銀行)からの増資支援も内定していた。
社員はもとより、発注者・債権者・株主、その他あらゆるステークホルダー(利害関係者)が安堵したことであろう。
「これで、しばらくは安心だ」と。
ところが、そこから僅か数日先の破綻表明である。
直接の原因(引き金)は、大口顧客の破綻等によって週明けに予定していた資金繰り(決済)の目処がたたなくなったとのことである。
そんなことで支援中止?
金額が大きかったのはうなずける。
しかし、そんなことは支援するにあたっての危険度において織り込み済みではなかったのか?
ましてや、そんな顧客でれば、当然金融機関としては黄色信号ぐらいには事前掌握できていたはずである。何十億もリスクを担ぐ主力行としては、事前に十分なデューディリジェンス(詳細調査・買収評価)をしていたはずである。
●上場企業破綻のケースにおいては、株式市場が混乱をきたさないためや、公表後にしか実施できない行動の時間を確保するためなどにおいて、その公表を「金曜日の15:00以降」に行うのが常套手段である。
ところが、本件は土曜日の発表であった。・・・最近は夜間取引も行われている影響からなのか?あるいは、ギリギリまでの交渉によるものなのか?
通常、「このくらい」と言ってしまうと語弊があるが、想定内として主力行は支援を継続する。・・・支援行にしても「メンツ」があり、また、その他自行取引の下請会社の連鎖倒産を防ぐためである。
ところが今回は、主力行から送り込んだ新社長が決定してからたった数日後の破綻となった。
なぜ土曜日の発表なの?
なぜ支援打ち切りなの?
なぜ大阪地裁なの?
売上に比して負債が小さいような気がするけれど?・・・今後負債が増える?今後売掛金の取立て不能が表面化してくる?資産売却損が出てくる?
なぜ主力行1行しか残らないの(北陸銀行は今後は手を引く見込み)?
余程、新経営陣に「経営力(先見性もふくめて)」がなかったか、
きな臭い「別シナリオ」があったかのいずれかである。
スッキリしない!
責任を創業家にかちつけての、売却や、DIPファイナンスによる金融機関の利益目当てでないことを祈るばかりである。
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