《あしたのための読書:法律・経済・会計編》
★『財務3表一体理解法』 國定克則氏著
●「社長の仕事は、売上をとってくること!」
そう考える方も多いと思われる。
僕も、(特に中小企業においては)社長としての仕事の第一は売上をとってくることであると賛同する。
更に言及すれば、社長としての才覚の第一は”稼ぐ力”である!
”稼ぐ力”とは、仕事をとってくるだけにとどまらず、いかに「会社に利益を残す」かという力も備わって成し得る力量である。
従って、売上だけではなく、売上によって得られた収入を、いかに効率よく会社運営に反映させ、更にいかに会社を発展させる仕組みや資産・資本形成を行っているかが問われるのである。
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●社長は、会社経営の最高責任者である以上、得手不得手ではなく、「責務」として自社の”財務3表”くらいは把握して説明できるようにしておくべきである。
その”財務3表”とは、「貸借対照表(B/S)」、「損益計算書(P/L)」、そして「キャッシュフロー計算書(C/S)」の3表である。
●「貸借対照表」とは、会社の資産状態、すなわち収益・借入・株主資本等によって集めてきたお金を、在庫・土地建物・備品等のどのような資産使途に利用したかが分る諸表である。
個人でいえば、給料(収入)によって現金で車を買ったり、銀行借入によって自宅を建てたりということである。この二者でいえば、全て自己利用の使途であることが分り、人によっては、収益を生むための貸家を購入する方もいよう。
つまり、「貸借対照表」を見れば、その会社(社長)のお金の使い道に関するセンスが分るわけである。
●「損益計算書」とは、文字通り会社の収支を表す。
その会社の1年間が、「黒字」だったのか「赤字」だったのかを示す諸表であり、誰もが目にしやすい諸表である。
●「キャッシュフロー計算書」とは、日本においては近年登場した諸表であり、会社の現金(又は短期に現金化可能な類)の移動・保有を表す。
これによって、赤字経営は論外としても、現預金等の保有状況から「黒字倒産」の危惧を読み取ることができる。
1千万円の仕入れ+経費に対して、1千2百万円の売上があれば2百万円の利益が生まれる。このことは、損益計算書で読み取ることができる。
ただしリアルタイムの現金決済はあり得ないので、売上回収よりも支払いが先行すれば「資金不足」となり銀行借入等によって資金をつなぐことになる。
その資金調達ができなければ、後日回収できる債権があったとしても、その会社は資金不足によって倒産することになる。これが黒字倒産である。
これらは従来の貸借対照表によっても読み取れたことではあるが、会計の国際標準化の流れによって、より「資金」にクローズアップさせた諸表を加えたのが「キャッシュフロー計算表」であり、貸借対照表上での「ウソ」を見破る役目もある(架空売上・架空在庫や、回収見込みのない債権が他2表にあっても、キャッシュフロー計算書での資金逼迫状況によって見破られてしまう)。
●以上が、いわゆる「決算書」の核を占める財務3表であり、社長としては自社の財務3表を把握し説明する責務を要する。
ところが、商行為においての「儲かった」「損をした」は、上記3表中の”損益計算書”を指すのみであり、赤字は論外としても、商行為によって得られた収益を”会社の発展”のために利用しているのか、はたまた利益を生まないことに利用しているのかが分るのが”貸借対照表”であり、更にその会社の資金状況を知るには”キャッシュフロー計算書”が最適であるといえる。
これら3表は連動してはいるが、似て非なる諸表である。
従って、この3表を混同している経営者がかなりいる。
いや、経理担当者でもこの3表を、しっかりと頭の中ですみわけ出来ている方の方が少数ではないかと思える。
本書においては、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」という”会社経営の通信簿”たるこの財務3表がいかに連動し、逆にいかに異なった指標を示しているのかを分りやすく説明している。
売上をとってこれない社長は論外として、昨今の世界不況においては、社長の会計感覚が会社の発展を左右する時代である。
二代目社長のアナタは、社長としての”稼ぐ力”を備えるべく、売上獲得にとどまらずに、自社の財務3表を指標にしながら自社の経営に取り組むことをすすめる。
財務諸表を勉強するにあたり、とかく難しい書籍から入る方がいるが、まず理解できないであろう。
財務諸表の大局を知るうえで、財務諸表の苦手な経営者にもってこいの一冊である。
●おすすめ度→★★★★☆
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