《あしたのための読書:感性を磨く編》
★『写楽の全貌』 山口桂三郎氏編集
●日本の文化「浮世絵」。
その浮世絵の代表作家のひとり「東洲斎写楽」。
写楽を楽しむとき、「浮世絵作家」としてはもちろんのこと、「正体不明」であること、更に「偽物」が多い?かもしれないという作品の真贋、と興味は尽きない。
●日本の文化である浮世絵は、江戸時代に全盛期を迎える。今で言えば、人気アイドルのポスターといった感じだろうか。当時はその程度だったので、日本の人気文化であったとはいえ、鑑賞用の「美術品」としては、先ず海外でその評価がなされた。それ故、現存する日本国内の蔵品には「逆輸入」が多い。美術品としての高価な価値が付いてきたことと、逆輸入が多いことから、江戸終盤~明治にかけて「偽物」が多く出回った。
●本書は、写楽の「全作品」を製作順と思われる順に掲載した全集である。画集としてとても見やすい。強調すべき点は、片面がA4よりひと回り強大きいサイズ(見開きA3強)になっているが、この手の画集にありがちなのが、特に代表作品を大きく見せるために、見開きにわたって掲載している画集をよく見かけるが、各片ページに1作品なので、折り目がなく見やすい。また、編者の主観も加えて、写楽像の謎に迫っていることが本画集の魅力である。
さて、写楽の魅力・神秘を本画集と共に追ってみることとしよう。
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①日本を代表する浮世絵作家・写楽
●『市川蝦蔵の竹村定之進』
切手にもなっている作品で、僕のお気に入りのひとつです。
写楽「第1期」の作品で、右が大英博物館所蔵・左が慶應義塾大学所蔵。
同じ作品でも「趣き」が違います。
「大首絵」と言われる構図で、サザビーに出せば、数千万円でしょうか。
後世の浮世絵作家も大首絵を多く描いていますが、やはり<写楽><歌麿><北斎>といった代表作家の足下にも及びません。
何事も生みの苦しみを乗り越えた達人には、永遠に残る強さとオリジナリティを感じます。マネはマネであり、かないません。
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②正体不明の作家・写楽
●これは、「第2期」といわれる時期の作品『市川男女蔵の富田兵太郎と三世大谷鬼次の川島治部五郎』
●写楽は、今現在も正体不明の作家です。当時人気があったのかなかったのかというところも説の分かれるところです。また、短期間で姿を消し、作品数も決して多いとは言えません。
それ故、正体については、「版元説」「他作家説」「作家以外説」等様々です。
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●これは、「第3期」といわれる時期の作品『大童山の土俵入』
●写楽の正体不明と併せて、「写楽複数作家説」があります。
こうやって、第1期~第3期と掲載すると、構図やタッチの違いに気付きます。
写楽は、複数いたのでしょうか?謎は深まるばかりです。
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③偽物の多い作品・写楽
冒頭に記載した通り、当時のポスター浮世絵が、高価な美術品として海外から逆輸入されると偽物が多く出回りました。
本画集は、編者が現存本物と認められている作品のみを掲載したとのことです。その中で、本画集では、同一画を時折複数掲載しています。冒頭の市川蝦蔵もそうです。更に、はっきりとは明言していませんが、所蔵の大多数は世界的美術館なので、今更「偽物」とは言えない品もあるような含みを述べています。「落款」の違いもときおりあるそうです。
江戸時代ですので、ひとつの版が版元を代えてわたっていくこともよくあったことなので、落款の違いや紙質の違いが即偽物と断定できませんが、真相はどうなのでしょうか?
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●浮世絵画集としてはもちろんのこと、当時の文化・時代背景、更には写楽の謎を追う深入りしてしまう画集です。
二代目社長のあなたの感性と好奇心をくすぐる画集だと思います。
●おすすめ度→★★★★☆(紙質がもう少し作品を際立たせられれば5つなんですけれどねぇ)
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写楽の全貌
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●本画集への興味を更に高揚させるためにも、ミステリィ界の人気作家・高橋克彦氏の『写楽殺人事件』の併読をお勧めします。
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