2-D:企業再生編

『「クビ!」論。』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『「クビ!」論。』 梅森浩一氏著

●地方や中小企業には実感がなくとも、日本の景気は過去最長の上昇を示していた。

ところが、今年に入り陰りが見え始め、今夏においてはついに、10年ぶりに「停滞」という表現が使われるに至った。

早い話が日本経済は「下降線」に入り、これまでの実感がなかった地方・中小は、今より更に悪くなるという警告なのである。実際、今夏に入って数十億~数百億規模の地方企業が、バッタバッタと破綻し始めた。

Photo_4 ← まずは、ランキングを見てね。

 

●本書は、1,000人の社員のクビを切り「クビキラー」と呼ばれた著者による体験記である。

世の中には、「首切りのプロ」が存在するのである。

”プロ”ということは、企業と約束した人数のクビを切れなければ、即解雇ということである。

「おわぁ~怖わ。首切りのプロかよ。血も涙もないやつに違いない」

誰もがそう想像する。

ところが、その逆。

血も涙もない輩に、クビは切れない!

本書を手にしたときに僕が実体験として持っていた感覚であり、本書の著者も同様であった。

 

●「リストラ」「早期退職」「希望退職」「雇用調整」・・・・・言葉はいろいろあれど、軽薄な経営者がやっていることは、単なる”クビ”である。

そんな経営者がやっているクビ切りには、<ビジョン><愛情>もない。

リストラにはビジョンが、クビ切りには愛情が必要なのだ!

これは、1,000人ものクビを切ったプロの著者の考え・体感であり、僕の実感でもある。

 

●クビを切ろうと言い出す経営者の多くは、「机」の上で考えていることがほとんどである。

たいした企業努力もしないで、机の上で「簡単にできる」と思えてくる1番簡単な方法=クビ切りに走ってしまうのである。

クビを切られた社員はどう思うか?

当然、会社をうらむ。

そうなれば、残った社員も同様に「この会社にいては先が危ぶまれる」と感じることになる。

もはや、売上向上・利益改善なんていってられない。やる気が出ないか、とっとと転職してしまうのが関の山である。

当然、会社は急激に売上が低下し、「こんなはずじゃなかったのに」と経営者は頭を抱える。

こんなはずじゃなかったのではなく、こんな結果は見えているのである。

そして、ほとんどのケースでは「血の入れ替え」を行わない。

20人切ったから安泰だ。

そう思うのであれば、30人切って、10人採用するべきである。

そうしないと、会社の血液が固まってしまう。

そうしないと、高給・高齢のオジサンばかりの会社になってしまう。

 

●何より忘れてはいけないのが、社員への愛情である。

社員に対して、「永年世話になった」と考えるか、「永年食わせてやった」と考えるか・・・・・この窮地にあっては、社長の資質が表にでてくる。

その窮地における社長の姿勢こそが、企業の将来を左右することを忘れてはいけない!

だからこそ、どんなに非効率的であっても、どんなに時間が掛かっても、社員ととことん話をする

「社員の幸福」を願い、「社員の人生」を案じる。

この会社にいることが正解なのか?

退職後の生活(費)はどうするのか?

転職先はあるのか?

だからこそ、「割増退職金」や「転職支援」を必ずセットで行う。それが”プロ”としてのクビ切屋の著者の行ってきた手腕である。

そして、そんな社長がいる会社が、ほんのわずか再生できる可能性を秘めている。

 

年功序列・成果主義が叫ばれるが、米国にあっては若い内にクビをいいわたす。

それが、本人にとっても会社にとっても有意義なことだからである。

ところが、日本企業は違う。もう後先がない年齢になってクビを言い渡される。これは、一見社員思いのように感じるが、実は「無意識の非道」なのである。

 

●「停滞」の域に落ちた日本経済。

これから急激にリストラが行われることと察する。

リストラ=クビ切りではない!

リストラは会社再構築なのである。

事業を見直し、組織を見直し、人員を見直す。そして、新規採用。

ビジョンと愛情

このふたつを忘れた経営を行って、復活を成し遂げた企業を見たことがない!

筆者はそういい切る。

僕も同感である。

 

●おすすめ度→★★★★☆

 

★クリック↓ みんなありがとう!アナタの応援が僕の力!!Banner_02

●永く会社経営をしていると、社員のクビを切らざるを得ない場面に遭遇することもあるやもしれない。

そこで安易に実行する前に、ぜひ一読いただきたい一冊である。

<プレジデントマップ>のご案内

riharuk@nifty.com ← 次は、あなたとの出会いを待ってます!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

『ルネッサンス』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『ルネッサンス-再生への挑戦-』 カルロス・ゴーン氏著

●日本を代表する企業のひとつ<日産自動車>

あの日産が倒産の危機に直面している・・・。

誰もが耳を疑い、その事実すらピンとこなかった、1990年代の後半。

それ以降、日産の危機はどんどん表面化し、「数字」や「リストラ」などの目に見える形で顕在化していった。

そして、見事復活したと周囲が思える現在も、その実感は企業状況を公開しているからでこそである。

旧来の「臭いものには蓋をする」日本的経営において、その見えない危機を見えるようにし、見える形で復活させたのが、企業再生請負人のカルロス・ゴーン氏であった。

あのとき、見えない危機が見えないままであったならば、今頃、日産は消えていたと思える。

Photo_4 ←ランキングに応援してくださいね。

 

●当ブログにおいても、ゴーン氏の著書『SHIFT(洋書)』を紹介し、ゴーン氏のチャレンジ人生を紹介させていただいた。

会社経営の秘訣、それは、実際に自分でやってみることだ!

マネジメントが机上論になってしまっている経営者を多く見かける。

会社が傾きかけたときに、経営者は躍起になって社員にハッパをかけ、結果不足を社員のせいにしてしまうパターンがほとんどだ。

それでも(客観的には当然に)経営が向上しないので、ようやく経営者に危機感が生まれる(それも、会社の危機感ではなく、あくまでも経営者個人の保身的危機感)。そのときになって、初めて、経営者は少しだけ勉強し、少しだけ考えるようになってくる。

この少しだけという中途半端が、更に経営を悪化させてしまう。

やたらと「書類」をつくりだしたり、むやみに「会議」を開いたりし、経営を行っているかの如く錯覚してくるようになる。

それでも、会社は下降線の一途。・・・経営者は社内に更に緊迫した危機感を「煽る(あおる)」ようになる。

ある危機感を感じた社員は、自分の将来の危機と感じ、転職するようになる。・・・若い方に多い。

ある危機感を感じた社員は、自分の雇用の危機感と感じ、より一層経営者に媚びうる状態になる。・・・年配の方に多い。

 

経営は実践である!

自社が利益体質の骨太企業になるという「社内」改革と、ライバル企業よりもお客様から支持を得るという「社外」の両方の改革を行ってこそ企業が再興する。

その第一歩が「危機感」である。

ゴーン氏の持つ「危機感」は、冒頭に記載したよくある衰退企業の例とは異なる。

危機感とは、トップがつくりだすものである。

旧来、安穏としていた結果の衰退に対して、「数値化」し誰もが理解しやすい内容で、会社の現状を伝える。

そして、トップが、新しい「目標」や、新しい「チャレンジ」をコミットメント(宣言・約束)する。そのことから企業内に「緊張感」が生まれ、そのエネルギーこそが改革の源となることをゴーン氏は知っている。まさに、全社一丸である。・・・個人の危機感しか抱けない企業においては、この「チャレンジ」がないことがほとんどである。「目標」は、到達したい理想形でしかなく、そこに到達するためには「チャレンジ」が必要不可欠である。しかしながら、目標しかない企業においては、行動(=チャレンジ)を行っていない。それ故、結果を社員に押し付けることしかできないようになってしまう。

 

●社員が個人の危機ととらえ、結果、企業が衰退一途をたどるケースと、見事復活するケース。この違いは、経営者の姿勢にある。

本書では、そのときの経営者の姿勢をストレートには表現していないので、「行間」を読み取ることが肝要だ。

ひとつは、「経営者の責任」として、再建目標を自他共に認識できる数値化によってコミットメント(宣言・約束)することである。

社員を鼓舞することはあっても、結果は全て経営者の責任であるということを当たり前のように自覚し、宣言している姿勢である。

そして、もうひとつが、「社員への愛」・「会社への愛」である。

再建企業においては、中途半端は命取りになる。経営責任の自覚欠如や愛のない経営者ほど、改革手法が中途半端であることが多い。これは、僕が見てきた多くの企業にあてはまる。

<覚悟>がないからだ!

裸一貫になってもやり遂げる。

社員リストラにあっては、しっかりと話をし、場合によっては転職支援もする。そして、何より、これまでの貢献に感謝をする。社員ばかりではなく、お客様・株主・仕入先・金融機関・・・。

そう!会社経営は<人>との交わりなのである。

会社においては平社員であっても、年齢が若くても、みんな人間なのだ。ひとりひとりに立ち返れば、みな同様であり、みな主人公なのだ。

このことを忘れ、このことを無視した改革を実施しようとすると、みな個人主義になってしまう。

だからこそ、経営は実践なのだ。

二代目社長のアナタ。

机上の勉学を多く積み(ベースなしは論外)、そして<実践>だ!

そこから道は開ける!!

●おすすめ度→★★★★☆

★ ↓みんなありがとう!アナタの応援が僕の力!!Banner_02

●あの怖そうな顔つきと、顕在した手法から、「冷血」と揶揄されるゴーン氏ではあるが、氏の講演内容には<人>というキーワードがとても多く出現する。僕の体験からも、企業再生は、経営トップが<人>のやる気を「責任」と「愛」を持って先頭に立ってすすめた企業しか成し得ない。改革手法がクローズアップされるカルロス・ゴーン氏ではあるが、本書を通して、経営者の姿勢をも感じ取っていただきたい一冊である。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『マッキンゼー・事業再生』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『マッキンゼー・事業再生』 本田桂子氏他共著

●世界のトップ・コンサルティング会社のひとつであるマッキンゼー・アンド・カンパニーの季刊誌『マッキンゼー・クォータリー』に掲載された企業再生・事業再生に関する論文を中心にした、コンサルティングの現場から発信された書である。

世界的コンサルティング会社というイメージからは、「机上の論理」「大企業向け」といった感を連想されるが、事業の再編や人員削減などを不可避とする再生企業において、最も重要なのが「社員の士気」であることが伺い知れる。

実践の中で培われたノウ・ハウは、中小企業においても大いに参考になる内容が多い。

多業種の事例が掲載されており、事業再生によって「企業価値」の向上を目指す方向性が見えてくる書である。

「事業再生」という言葉は、近年クローズアップされてきた用語ではあるが、その基本は古くからの経営手法を丁寧に実践していくことであることに気付いてくるはずだ。

最終に「対談」が掲載されているが、実践者による内容として非常に興味の持てる内容となっている。

事業再生をマクロ的に把握するのに、おすすめの書籍です。

●おすすめ度→★★★☆☆

★↓クリックをお願いします。みんなの応援が僕の力になっています!Banner_02

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『坂の上の雲』

《あしたのための読書:会社運営編》

★『坂の上の雲』 司馬遼太郎氏著

●昭和を代表する歴史小説家・司馬遼太郎氏。

代表作は、僕の大好きな『竜馬がゆく』である(でも、僕自身、坂本龍馬の功績は評価するが、人物としてはあまり好きではない。少なくとも成りたいとは思わない)。

その独自の歴史観と、登場人物の会話を多用した臨場感により、歴史家としても文豪としても評価される作家のひとりである。司馬遼太郎氏の作品は、文学としてはもちろんのこと、経営者が指針としている書も多く、本書もその中の一冊である。

●先に本ブログでも紹介した『失敗の本質』でも触れたが、経営(学)は軍事から端を発している。従って、「戦略」や「戦術」など<戦>という名がそれを物語っている。

『失敗の本質』は、太平洋戦争時の日本軍の敗戦を逆説的に検証し、経営における戦略や戦術に活かそうとした書であった。

本書の舞台は、それよりも遡り、「日露戦争」が舞台である。

「維新」によって、長く続いた幕府体制の江戸時代から、封建社会を崩し、民主国家への第一歩を歩むことになった明治時代の日本。それは同時に、鎖国を解き、開国を成し遂げた時代でもあった。民主国家そして開国、一見良いことばかりに思えるが、それはすなわち、「個々の責任」を伴う国家であり、当時の日本人には思いもよらなかった事態であったと推測する。

江戸時代の人は、身分によって生まれながらに人生が決まっていて、格差も激しい時代であった。人としての自由が無い大変な時代だったであろう。・・・確かにそうかもしれないが、そう思うのは、現代環境にあり、現代思想を持つ我々の感覚であり、その時代の人々にとっては我々が思う程ひどい時代であったかは疑問である。それが証拠に、何百年も江戸時代は続き、同時に鎖国は守られていた。しかし、それが解き放たれたということは、同時にこれまで与えられ・守られている一方だった国民が、「自立」して喰わなければならない時代を意味した。・・・まさに、護送船団により、どの社会主義国家よりも社会主義であると揶揄された表見資本主義国家・日本が、規制を解除し、国営を解体している現在と酷似する状態にあったと思える。

そんな明治時代は、民主主義を確立するために、その結果としての国民格差を狭めるためには、国益が必要であり国際戦略を必要とした時代であった。

本書の舞台、対ロシアとの戦いである日露戦争もそんな時代背景からの出来事であった。

●主人公・秋山真之他の若手将校にスポットを当てた本書は、作品の時代の「リアリズム」を感じさせ、組織における上級将校との葛藤が伝わる。従来の組織感覚・戦略感覚に対立する若い将校たちの感覚。それは、「どう行うか」という手法(時として後の言い訳)対「何を行うのか」というビジョンとの対立構図でもあるように読み取れる。

先に述べたように、経営(学)は軍事から起源している。また、本書の時代背景と現代は酷似していると思える。まさに、従来の国に守られた個々・会社が自由になるということは、それぞれが「自立」する時代への変貌であり、それを支えるのが<ビジョン>であると考える。

時代は違えど、「組織」と「リーダー」というものに対する本質は変わらないと教えてくれる書である。

季節も秋を迎え、読書シーズンとなりました。秋の夜長、いつも読もうと思って先送りにしてきた大作にチャレンジしてみてはいかがですか?

●おすすめ度→★★★★☆

★↓クリックをお願いします。みんなの応援が僕の力になっています!Banner_02

| | コメント (4) | トラックバック (0)

『ハゲタカ』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『ハゲタカ』 真山仁氏著

●バブル崩壊後の日本経済において、疲弊した日本企業から不動産を買い叩き、更には、日本企業そのものを買い取って「利ザヤ」をむしりとる姿が、屍を食らう「ハゲタカ」に似ていることから、外資系ファンドは「ハゲタカファンド」と揶揄されていた。

そのハゲタカファンドをはじめとする「M&Aビジネス」を舞台に物語は展開される。

主役の外資系ファンドマネジャーの鷲津政彦は、次々と日本企業を買い漁り、その冷酷無情な態度は、まさに「ハゲタカ」であった。一方、エリート・バンカーであった柴野建夫は、バンカーとして、その後進むターンアラウンド・マネジャー(事業再生士)としてハゲタカに立ち向かう。

●ハゲタカファンドから連想されるのは、対象(不動産や企業)が不良債権化した金融機関から安く買い叩き、市場で高く売りつけるというイメージを持つ人も多い。単純な構図はそうではあるが、いくら安く買っても、当時の日本の不動産や企業は急激な値下がり傾向にあり、割安感はあっても、その後の再下降を危惧して、現実はそう簡単に買い手がいた訳ではない。

例えるならば、ここに荒廃しきった「畑」があるとしよう。その土地を安く買い上げ、購入者を探して(それすらバブル崩壊後の現実社会では難しかったと思うが)転売する。そして「利ザヤ」を稼ぐのである。ここまでは、不動産業である。そんな二流のハゲタカファンドも多くあるが、一流のファンドは、その荒れた「土地」を耕し・肥料をやり、その土地そのものを自活させ、「畑」として<再生>させる。荒れた土地のまま転売して得られる利ザヤに比べ、莫大な「利益」を生むこを目的としている。つまり、有能なファンドマネジャーは、その企業を再生する能力に長けていなければならない。お互いのスタンスの違いによって、絶対に相間見えない部分はあるにしても、両者の目指すところは<企業再生>である。

●本書は、『ハゲタカ<上><下>』と、続刊である『ハゲタカⅡ[旧題名:バイアウト(企業買収)]<上><下>』が発刊済みである。

Ⅰにおいては、ハゲタカは「悪魔」か「救世主」か。という投げ掛けの通り、ハゲタカの功罪を問う内容である。相当練りこんだ内容になっており、バブル期以降の日本の金融機関と、外資系の投資ファンドの裏の裏までを題材にしている。また、その間の日本企業の再生に対する法律、手法の変化も記載し、まさに「経済小説」の王道のような内容である。進行も、いろんなところから出現する登場人物が、リアルタイムに同時進行し、息のつく間もないくらいスリリングに進展する。小説としても企業再生の参考書としても絶品である。

続くⅡは、その後の法改正において登場した法律下に起こりうる題材を取り上げている。こちらは、どちらかというとドラマ仕立てである。また、正義の味方というイメージの強いターンアラウンド・マネジャーも実務においては<鬼>であることが伺い知れる。一方のハゲタカは、「サムライ魂」を成熟させる。Ⅰに比べて、双方の光と影が逆転したような視点である。そして、双方とも<人>の再生こそが企業再生であるという共通認識を持って距離感が縮まったストーリーになっている。但し、Ⅰに比べて、構想期間が短かったのであろうが、少し物足りない内容ではあった。・・・さて、Ⅲはあるのか?ラストがそう期待させる。

また、本書をベースにして、NHKでドラマ化された。外資系ファンドマネジャーの鷲津政彦役には大森南朋氏を、対するライバル柴野建夫役には柴田恭兵氏を抜擢した。全体のモチーフは原作に通じるものがあるが、ドラマ独自の脚本になっており、別の話として、原作とは別途楽しむことができる。こちらのドラマ版は、僕の親友が弁護士として法律考察を監修しており、よりリアルな仕上げになっている。

久々の本格経済小説の登場によって、眠れない日々が続くこと間違いなしの作品である。

●おすすめ度→★★★★☆

***

★↓みんなのクリックが僕の力になっています!Banner_02

***

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『M&A・事業再生用語辞典』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『M&A・事業再生用語辞典』 藤原総一郎氏他共著

●辞典と題してはいるが、国語辞典や経済用語辞典のように、単語を並べた書ではなく、事業再生の解説書である。藤原氏は、事業再生分野で有名な「森・濱田松本法律事務所」のパートナー弁護士であり、その道で名前の売れている弁護士である。従って、本書も法律的視点から記載されている。

事業再生において、著者が重要と思えるキーワードを体系的に掲載し、そのキーワードの解説文を2,3ページにわたって記載している。各種の関連書籍を学ぶ過程においての補完書としてもよく、また、本書を読み終えて細部の関連書を読むのもよい。

章として挙げているのは、次の通りである。

第1章 M&A

第2章 買収防衛

第3章 ファイネンシャル・ステートメント

第4章 バリュエーション

第5章 事業再生

第6章 取引規制

第7章 資金調達

以上である。

●企業再生を手がけるとき、ステーク・ホルダーとなる、株主、金融機関、販売先、仕入先、社員・・・。細部の交渉と、全体の流れを調整しながら、しかも、並行して実施する必要がある。

常日頃述べているように、「企業再生は事業再生」であり「事業再生の源は人間力」である。そういう経営道的根幹を磨きながらも、経営破綻寸前の企業を再生する場合は、片一方で<法律>とにらめっこしながら進める必要がある。

経営は経営者、法律等は弁護士・税理士等の士業に、と考えている社長が多い。しかしながら、自社の経営を再建する法律・税務のサポーターとして士業の方が就いているということを忘れ、法律・税務等を理解しようとしない社長が多い。士業の方は、その道のスペシャリストではあるが、あなたの会社の経営者ではない。経営力が欠けているという話ではない。「経営判断をする立場にない」ということである。従って、依頼主であるあなたが「方針を決める」のが大原則である。しかしながら、現実は、金融機関・債権者が発言力を持つようになり、経営者もオロオロとなって、「誰も判断しない」という状況に陥ってしまう。

経営に窮する会社に立ち会うと、社長は「まな板の上の鯉」ということが多い。社長自身が判断して良いのか否かが分からず、そのうちに社長自身が無責任化してしまうことが多い。そのためにも、トータル的にまとめる経営コンサルタントや自身の内外の側近を交える必要がある。上場企業の例では、ほとんどのケースは、従来の債権者との関係のない者がトップに就く。そうしないと、経営の発言力が保てず、経営者不在となれば再生そのものが形骸化してしまうからである。

企業再生と法律は密接な関係にある。

特に、会社法が施行され、本年三角合併が解禁されると、<M&A>とも密接になってきた。会社・社員あるいはのれんが重要であれば、会社の売却も視野に入れなければならない。そのことは、経営に窮する企業ばかりではなく、体力の弱ってきた企業がターゲットとなりやすいことからも、これからクローズアップされてくる事項である。本書は、会社法施行後の書であるので、現在の法律を考慮して記載されている点もおすすめ理由のひとつです。

法律は、突き詰めれば難解なことが多い。それ故、法律判断を放棄してしまう社長が多いが、実際はどうであれ、形式上は「依頼主」である。そのためにも本書を読んで、まずは概略を掴んで欲しい。何も法律家に成れということではなく、法律家と話ができる程度の知識がなければ、経営者として法律判断ができないからである。

最後に、弁護士は最難関な資格であり、高学歴の方がほとんどである。それ故、弁護士と話をしていると、コンプレックスを持って対処する社長が多い。繰り返す、依頼主はあなたです。あなたの意向(○か×か。右か左か。)がなければ、どんなに優秀な弁護士も問題を解決できません。経営者として、法律知識を学びましょう。

●おすすめ度→★★★★☆

★↓みんなのクリックが僕の力になっています!Banner_02

●メール相談受け付けています。ご利用下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

立川昭吾氏講演会

《二代目社長アドバイザー:企業再生》

★【立川昭吾氏講演会】

20070627174200

事業再生士として僕の登録する日本事業再生士協会。その日本事業再生士協会の理事であり、認定機関である日本ターンアラウンドマネジメント協会の次期理事長である立川昭吾氏の講演会が、本日金沢で開催された。

立川昭吾氏は、日本における事業再生のプロフェッショナルを養成する活動に尽力すると共に、自身も事業再生の現場に立つ、事業再生のトップ・プロである。

今月半ばに、たまたまPRで入ってきたFAXで、今日の講演会を知った。まさに、「たなぼた」である。たなぼたと言っても、いつも獲物を狙って、棚の下で待ち構えていないと落ちてきたときに拾えない。

しかも、東京で行われる数百人規模の講演会等では、長蛇の列で、まず氏とあいさつすることはできない。都会の講演会は、人数の多さもさることながら、積極的に講師にあいさつする方が多いからである。今日、講演会終了後、真っ先に氏にあいさつをすることができた。何事も、<1番>は印象に残りやすい。ゆっくりとお話をすることができた。大ラッキーである。

●今日の講演会のテーマは、「地方中小・中堅建設会社の再生」であった。

政府や調査会社の発表は、金融機関の不良債権処理及び企業淘汰は峠を越えたと発表されているが、地方の中小企業の破綻は、何倍にも増えていて、これからが山場ということである。と言うのも、調査会社の発表は、一定額以上の企業を対象にしているため、中小・零細企業の破綻は未発表とされ、その実態は急激に増えているとのことであった。

都会では、IT化によって、光ファイバー等のインフラを整備するオフィスの需要が高水準で、そのため、ビル建設ラッシュにあるようである。賃貸料もバブルに迫る勢いであるとのことであった。更に、旧態以前のビルは再建設しないと生き残れないので、そこでも開発事業が展開され、二重三重に拍車がかかっているとのことであった。

だからと言って、「建設産業の復活」・・・という訳ではない。

これからは、米国でエンターティメント事業の開拓(ラスベガス等)によって、新しい建設需要が発掘されたように、「官から民」へシフトできた大手企業のみが生き残り可能と読む。一方、地元業者による小規模建設は残るので、「二極化」が進むと読む。

この二極化は、入札時における(従来は受注時)「ボンド」(履行保証)制度の強化や、「道州制」による広域受注化によって、数年以内の出来事になるだろうと推測する。建設産業の復活の兆しと併せて、建設会社の淘汰はまだまだ進んでいくとの予測である。

最終的には、「受注」する企業と、「施行」する企業に分離する可能性が大であると読む。

これらの予測は、米国の建設業界をみても「受注=ソフト」と「施行=ハード」に分離する傾向が強まっていることを鑑みても現実味が高い。

●本日は、もうひと方講演があった。四国で建設関連グループの社長をされている方であった。歳は41歳で、僕とほぼ同い年である。自身の企業は、再建真っ只中であるとのことで、僕の体験からも、その話の内容・話す口調から日々の苦悩が伺えた。

講演内容は、立川氏の総論を更に業界関係者として深く追求した内容で、ひとつひとつに説得力がある内容であった。

全部を紹介したいくらいであるが、印象に残ったフレーズを紹介する。

奥さんには、程度の加減はあっても話(状況)をする。

◇かつての大社長からカツを入れてもらうことはあっても、時代に即した方と相談する。

「品質」を高め、その結果として「利幅」を得る筋肉質な企業をつくる。

◇建設業においては、「経審」(公共入札時の各社の点数)があるため、売上を落としても収益を優先させる手法は通用しない。(入札ランクが落ちると、たちまち売上は半減する。)

◇関連して、技術者数を削っての売上キープは無理。受注が落ちたときにとる手法であり、その場合も再度売り上げ増によって技術者を確保するのは、至難の業である。

◆社長自らが先頭に立つ。・・・数年に1度換えていた高級車を売り払って中古車のバンにし、「社長の決意」を表明したそうです。

◆最後に、印象に残ったことは、民事再生をした多くのの会社が道半ばにして破綻した事実と、成し遂げた会社の社長も最終到達時点では自己破産をして次の社長にバトンタッチするしかない現実でした。せっかく何年もがんばっても、最終的には社長の連帯保証が残ってしまい、再生企業の次のステップの妨げになるからとのことでした。この金融システムを何とかしないと企業も人も再生できないというのが氏の思いでした。

氏は、自身の会社の再建真っ只中にある一方、地元の公共機関とタイアップして、一社でも多くの企業、ひとりでも多くの社長を助けたいというのが氏の思いだそうです。

重みのある話でした。

「企業再生」・・・それは「事業再生」です。金融機関や士業の方ができるのはBS(バランスシート)の引きなおしというスタート地点までです。

その生まれ変わった企業は対外的にも信用はガタ落ちになります。その企業の信用を取り戻し、売上を確保して、収益をあげる筋肉質な企業にさせて、はじめて企業が再生したと言えます。その再生は、社員をはじめとする<人>によって行われます。

社長であるあなたは、社員の先頭に立ち、1番質素な生活をし、社員を家族と思う。その覚悟がなければ、企業再生は成しえません!

★ランキング挑戦中です。クリックをお願いします!Banner_02

●無料メール相談受付中です。

●本日の講演者・立川昭吾氏は、実務家としても多くの著書を出版しています。実務家ならではの具体的・実践的内容です。中でも『企業再生バイブル』は必読書です。(おすすめ度→★★★★☆)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

『会社の値段』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『会社の値段』 森生明氏著

●会社には<所有者>がいます。

社長であるあなたではありません。債権者でもありません。

会社の所有者は<株主>です。

中小企業の場合は、大株主と社長が同一人物であることが多いため、会社の所有者は社長であると錯覚している社長が多いですが、会社の所有者は株主です。社長は、経営上の最高責任者でありポジションでしかなく、所有者ではありません。

また、金融機関等の債権者のものでも、もちろんありません。

法律上の権利ですので、考え方ではなく、ゆるぎない「事実」です。

このことを、「言葉の違い」と一蹴すると、経営者は大きな勘違いをして、会社を私物化するようになります。

過大な役員報酬のお手盛りに加え、経費使い放題、はたまた、社有物の私物化・・・きりがなくなります。

会社の財産・資産は、所有者である株主のものです。

ただし、これは法律上の狭義においてのルールなので、会社経営における「会社は誰のために存在するか」という広義においては、社員・取引先・債権者等の関わる全ての対象や社会に対して配慮していく必要があります。

●会社には<値段>が付いています。

上場企業が最も分かりやすく、株価=値段が付いています。

一見、上場企業だけのように思えますが、オーナー中小企業の社長が亡くなったときに、その資産価値が中心となりますが、保有株式は「時価」に換算され、相続税の対象となります。すなわち、会社に値段が付いているのは、上場企業だけではなく「全ての企業」にあてはまります。

●所有者がいて、値段が付いているとなると、会社は<M&A>の対象となります。売買が可能となります。

「会社を売り物にする気か!」

会社を売る、売らないは、株主・経営者の判断であり、別次元の話になります。それでも、会社が売買の対象となるのは事実です。

そもそも<株式会社>とは、そのような法律ルールによって成立し、そのことを承知で株式会社化しています。

●以上を好まない経営者は、非上場、非株式会社にするしかありません。

●本書の著者・森生明氏は、日本で1・2を競う会社経営に関するスペシャリスト弁護士集団の西村ときわ法律事務所の経営顧問を務めています。僕の高校時代の親友がその事務所のパートナー弁護士であり、本書をすすめてくれました。

●本書においての主眼は、M&Aそのものというよりも、ましてや会社を売り物にしろという訳ではなく、上述の法的事実を前提にした中、経営者はいかに<企業価値>を高める経営をしていく必要があるかを説いています。

上場企業の株式は、会社の価値が株価に反映します。

会社の株価は、会社資産のみならず、成長性・永続性、さらには社員・株主にとっての価値等、その企業に対するさまざまな価値判断が反映しています。

会社の値段を吊り上げ、売却することが目的ではなく、企業価値を高めた結果の「ものさしのひとつ」として会社の値段があります。

●法律関係者の著書らしく、株式会社を取り巻く法律背景を踏まえながら、企業価値という抽象的尺度をいろいろな目に見える尺度に置き換えて説明しています。

●二代目社長のあなたの会社経営においても、企業価値を高める具体的目安となる書であると思い推薦します。

●おすすめ度→★★★★★

★あなたの応援が僕の力になっています→人気blogランキングへ

●二代目社長のあなたは、ひとりで悩まないで下さい。コメント・メール大歓迎です。

●本書は新書サイズですので、日頃持ち歩き、ちょっとした合間に読むといいと思います。

●テンプレートをHenryというのに変えてみました。キャラクターに違和感はあるものの、ひとつひとつの記事の境目がはっきりしており、サイドバーも以前の赤から比べぐっと見やすいので変えました。・・・てっきり「トーマス」の仲間かと思い、PC師匠のMさんに連絡したら「掃除機だ!」と教えられました。よく見ると掃除機なんですね・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『企業再生』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『企業再生』 許斐(このみ)義信氏編著・慶應ビジネススクール・ターンアラウンド研究会著

●僕の所属している団体のひとつに、日本事業再生士協会というところがあります。その協会の理事長である許斐慶應大学大学院教授の書です。

●本業以外の訳の分からないところにお金が流れていった企業は論外として、企業が行き詰るときは、「資金繰り」がつかなくて行き詰ります。

その「資金繰り」を解消しようと、「借入」を増やしたり、支払いを「滞納」したりします。

しかしそれは、延命でしかありません。

企業再生の場においては、お金による延命策もそのひとつの過程として必ず取ります。

それは、<お金=時間>だからです。

お金により獲得した時間で、<事業再生>をするためです。

ところが、ほとんどの不振企業においては、借入・支払滞納によりできた「時間」を、獲得した「お金」と勘違いしてしまいます。その結果、経営者は、のほほんとした毎日に戻り、挙句の果てには、無駄使いを繰り返します。借入、支払いは、当たり前ですがいずれおとずれます。・・・そしてまた資金繰り。

●不振企業が資金繰り難に陥った理由は、<利益>が獲得できなかったからです!

だから<企業再生>は、<事業再生>と言えます。

●企業再生は、「事業再生」「お金」等の<外科>処置と、「社内の改革」「社員のモチベーションの向上」といった<内科>処置の両面を必ず同時進行しないといけません!

そうしないと、その企業が「再生=利益を獲得できる企業」に蘇らないからです。

本書は、大手企業の再生、特に外科処置を中心に、ケース・スタディしています。

大学の教授の研究書として、各ケースを具体事例をもって掘り下げ、同じような病状でも外科執刀にはいろんな方法があることを知ることができます。

外科医が盲腸のとき、胃潰瘍のとき、胃ガンのとき、それぞれ執刀方法が違うように、企業再生の現場においても適切な手法を知っていなければなりません。

本書を読み、企業再生の<形>をイメージするとよいと思います。

本書は、具体的企業再生の形態書ですので、その詳細な手法および内科的手法の書を併読し、実践することをおすすめします。

●おすすめ度→★★★★☆

★みんなの応援が僕の力になっています→人気blogランキングへ

●二代目社長のあなたは、ひとりで悩まないで下さい。コメント・メール大歓迎です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『なぜ会社は変われないのか』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『なぜ会社は変われないのか』 柴田昌治氏著

●新年度が始まり「会社を変えよう!」と、二代目社長のあなたは、あれこれ考えを交差していることと思います。

自然や動物が「日々変化」しているように、あなたの会社も「日々進化」しなければ会社は発展しません。

「変える」ということは、だめなことを良くすることと考えず、良いものを更に次の次元へ発展させる「進化」を目指すべきです。

変えるという言葉のイメージから「これまではダメだったんだ」否定から入ってしまうと、社員をはじめとした人間の「粗探し」が始まってしまいます。それでは会社は進化しません。さなぎが成虫になるがごとく会社を進化させましょう!

●それでもなかなか会社は「変わりません」

もう一段掘り下げてみると、それは「社風」であり、社風が変わっていかないことに気付きます。

でも「社風」はどうやってできるかというと、「人」と「時間」によって創りあげられます。ですから、会社を変えるこは、社風を変えることであり、社風を変えるということは、人の考え・行動を変えることをなさなければいけません。

そのとき、ぜひ心して欲しいことが2つあります。

ひとつは、あなたの会社には、必ず良い社風があります。良い社風とは、あなたの会社で働く人、その家族、あるいは取引先等が「あなたの会社と付き合って幸せだなと感じることがら」です。会社の社員が誇りと感じていることです。最初にそのことを見つけましょう。粗を先に探してもそれは「手法」を変えるに留まり、進化はしません。

「うちの会社の社風は、この時代に合わないよ」と言うのは、手法が合わないのであり、そこをポイントとしても薄っぺらい改良に終わり、社風を変えるには至りません。

「風土」とは、風が変わっても土がしっかりしている状態なんです!

「風」として変わる部分と「土」としてしっかり根をはる部分を見極めるのが、社長であるあなたの役目です。

もう1つは、社風を変えるには時間がかかります。・・・自然界を想像してみて下さい。急激な造成では風土は培われません。・・・毎日毎日をバイタリティを持ってスピーディに、だけどその土(土台)造りは焦らずに、丹念に繰り返しましょう。

●今回紹介する書は、企業の変革を物語風に展開させています。大手企業がモデルなので、改革の実務を担う中堅社員(その人選過程も注目です)と、改革の舵取りをする社長の役目というところに着眼してもおもしろいです。なんでもかんでも社長が実行すると、社員への押し付けとなり改革は机上の空論に終わります。ぜひ社長の役目にも注目して読んでみて下さい。

経営学の手法・手順をベースにしながらも、実践での問題点を浮き彫りにした実践をする前に読んでおきたい書です。

ページ数のわりに、あっという間に読んでしまう良書です。

●おすすめ度→★★★★☆

★みんなの応援が僕の力になっています→人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)