『「クビ!」論。』
《あしたのための読書:企業再生編》
★『「クビ!」論。』 梅森浩一氏著
●地方や中小企業には実感がなくとも、日本の景気は過去最長の上昇を示していた。
ところが、今年に入り陰りが見え始め、今夏においてはついに、10年ぶりに「停滞」という表現が使われるに至った。
早い話が日本経済は「下降線」に入り、これまでの実感がなかった地方・中小は、今より更に悪くなるという警告なのである。実際、今夏に入って数十億~数百億規模の地方企業が、バッタバッタと破綻し始めた。
●本書は、1,000人の社員のクビを切り「クビキラー」と呼ばれた著者による体験記である。
世の中には、「首切りのプロ」が存在するのである。
”プロ”ということは、企業と約束した人数のクビを切れなければ、即解雇ということである。
「おわぁ~怖わ。首切りのプロかよ。血も涙もないやつに違いない」
誰もがそう想像する。
ところが、その逆。
血も涙もない輩に、クビは切れない!
本書を手にしたときに僕が実体験として持っていた感覚であり、本書の著者も同様であった。
●「リストラ」「早期退職」「希望退職」「雇用調整」・・・・・言葉はいろいろあれど、軽薄な経営者がやっていることは、単なる”クビ”である。
そんな経営者がやっているクビ切りには、<ビジョン>も<愛情>もない。
リストラにはビジョンが、クビ切りには愛情が必要なのだ!
これは、1,000人ものクビを切ったプロの著者の考え・体感であり、僕の実感でもある。
●クビを切ろうと言い出す経営者の多くは、「机」の上で考えていることがほとんどである。
たいした企業努力もしないで、机の上で「簡単にできる」と思えてくる1番簡単な方法=クビ切りに走ってしまうのである。
クビを切られた社員はどう思うか?
当然、会社をうらむ。
そうなれば、残った社員も同様に「この会社にいては先が危ぶまれる」と感じることになる。
もはや、売上向上・利益改善なんていってられない。やる気が出ないか、とっとと転職してしまうのが関の山である。
当然、会社は急激に売上が低下し、「こんなはずじゃなかったのに」と経営者は頭を抱える。
こんなはずじゃなかったのではなく、こんな結果は見えているのである。
そして、ほとんどのケースでは「血の入れ替え」を行わない。
20人切ったから安泰だ。
そう思うのであれば、30人切って、10人採用するべきである。
そうしないと、会社の血液が固まってしまう。
そうしないと、高給・高齢のオジサンばかりの会社になってしまう。
●何より忘れてはいけないのが、社員への愛情である。
社員に対して、「永年世話になった」と考えるか、「永年食わせてやった」と考えるか・・・・・この窮地にあっては、社長の資質が表にでてくる。
その窮地における社長の姿勢こそが、企業の将来を左右することを忘れてはいけない!
だからこそ、どんなに非効率的であっても、どんなに時間が掛かっても、社員ととことん話をする。
「社員の幸福」を願い、「社員の人生」を案じる。
この会社にいることが正解なのか?
退職後の生活(費)はどうするのか?
転職先はあるのか?
だからこそ、「割増退職金」や「転職支援」を必ずセットで行う。それが”プロ”としてのクビ切屋の著者の行ってきた手腕である。
そして、そんな社長がいる会社が、ほんのわずか再生できる可能性を秘めている。
年功序列・成果主義が叫ばれるが、米国にあっては若い内にクビをいいわたす。
それが、本人にとっても会社にとっても有意義なことだからである。
ところが、日本企業は違う。もう後先がない年齢になってクビを言い渡される。これは、一見社員思いのように感じるが、実は「無意識の非道」なのである。
●「停滞」の域に落ちた日本経済。
これから急激にリストラが行われることと察する。
リストラ=クビ切りではない!
リストラは会社再構築なのである。
事業を見直し、組織を見直し、人員を見直す。そして、新規採用。
ビジョンと愛情
このふたつを忘れた経営を行って、復活を成し遂げた企業を見たことがない!
筆者はそういい切る。
僕も同感である。
●おすすめ度→★★★★☆
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●永く会社経営をしていると、社員のクビを切らざるを得ない場面に遭遇することもあるやもしれない。
そこで安易に実行する前に、ぜひ一読いただきたい一冊である。
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