2-E:法律・経済・会計編

『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』 林總(はやし・あつむ)氏著

”経営”はつかみどころが難しい。

従って、多くの経営者は経営を概念的にとらえ、”正しい”とか”正しくない”とかの論理にも走りやすい。

その結果、”ひとりよがりの経営”に陥りやすい。

企業運営においては、その舵取りとなる”経営者”は少数でも、社員や株主あるいは取引先等のステークホルダーみなが”WIN-WIN”となる企業経営は存在する。

そのためにも、概念的にとらえがちな「経営」を、「客観的」にとらえ、経営者はもちろんステークホルダーもが”同じ指標”を持ち、”同一目標”に向けて進むことが、”皆が幸福な企業づくり”への第一歩である

その指標となるのが”会計”である。

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●「経営者が正しい・・・」

「従業員が正しい・・・」

「不景気だから仕方がない・・・」

これでは企業をとりまく人々の”友好関係”は構築できるはずもなく、”強い企業”もつくれるはずもない。

 

●一方、”会計=数字”は、ウソをつかない!”

(もちろん、会計にも粉飾や逃げ道はあるが、それはいずれバレることになる。)

ならば、経営者と社員が”数字”を「共有」できれば、その会社は改善する可能性は断然強くなる

ここで経営者が注意すべきは、”数字”を使って社員を攻撃しないことである

「この業績悪化は、○○君のせいだ!」ってなことは言わないどころか、思わないことである。

会社の数字=共通目標

このことを忘れてはならない。

 

目の前に高い山がある。

「一緒に登ろう!」

それが”共有”であり、「目の前の山は○○○mある」とか、「今は○○mで、あと○○mで頂上だ」「このペースで行くと目標時間までには到着しないので、ペースをあげよう。ルートを変えよう」・・・そうやって”方向性”を決めるのが経営者の役目である。

でも”会計”は難しい!

会計は、単なる数字の計算ではないからであり、そのことを肝に命じている経営者は少ない。

 

二代目社長のアナタにとって、創業期からの会社の動向を探るには、決算書を始めとした会社の会計をひも解くことが肝要である。

本書は、そのとっつきにくい会計を分りやすく説明するために、小説仕立てになっている。

ちょうど主人公も、二代目社長のアナタと同じく、実父の会社を引き継いだ若手社長である。

ところが、まるで経営が分らない。

会社はどんどん赤字化していく。

そこで、その主人公の社長業の家庭教師として”会計”と”経営”の両方を教えてもらう相手とめぐり合う。

この相手とは、月に1度のレクチャーを1年間受けることになり、1カ月1カ月の「課題」や「進捗」が読者経営者のリアルにおいて丁度当てはめやすいのも本書をおすすめする理由のひとつである。

 

●経営はつかみどころが難しい。

そのため、ついつい観念的になりやすい。

だからこそ、「会計」という客観的数字を指標とし、社員を始めとしたステークホルダーとの”共有”が企業を強くする。

決して、数字を他人のせいにしてはいけない。

その原因こそが、経営者に課された使命であるからである。

そして、その”共通目標”を舵取るのが二代目社長であるアナタである!

 

●おすすめ度→★★★★☆

 

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『財務3表一体理解法』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『財務3表一体理解法』 國定克則氏著

●「社長の仕事は、売上をとってくること!」

そう考える方も多いと思われる。

僕も、(特に中小企業においては)社長としての仕事の第一は売上をとってくることであると賛同する。

更に言及すれば、社長としての才覚の第一は”稼ぐ力”である!

”稼ぐ力”とは、仕事をとってくるだけにとどまらず、いかに「会社に利益を残す」かという力も備わって成し得る力量である。

従って、売上だけではなく、売上によって得られた収入を、いかに効率よく会社運営に反映させ、更にいかに会社を発展させる仕組みや資産・資本形成を行っているかが問われるのである。

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社長は、会社経営の最高責任者である以上、得手不得手ではなく、「責務」として自社の”財務3表”くらいは把握して説明できるようにしておくべきである。

その”財務3表”とは、「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」、そして「キャッシュフロー計算書(C/S)」の3表である。

「貸借対照表」とは、会社の資産状態、すなわち収益・借入・株主資本等によって集めてきたお金を、在庫・土地建物・備品等のどのような資産使途に利用したかが分る諸表である。

個人でいえば、給料(収入)によって現金で車を買ったり、銀行借入によって自宅を建てたりということである。この二者でいえば、全て自己利用の使途であることが分り、人によっては、収益を生むための貸家を購入する方もいよう。

つまり、「貸借対照表」を見れば、その会社(社長)のお金の使い道に関するセンスが分るわけである。

「損益計算書」とは、文字通り会社の収支を表す。

その会社の1年間が、「黒字」だったのか「赤字」だったのかを示す諸表であり、誰もが目にしやすい諸表である。

「キャッシュフロー計算書」とは、日本においては近年登場した諸表であり、会社の現金(又は短期に現金化可能な類)の移動・保有を表す。

これによって、赤字経営は論外としても、現預金等の保有状況から「黒字倒産」の危惧を読み取ることができる。

1千万円の仕入れ+経費に対して、1千2百万円の売上があれば2百万円の利益が生まれる。このことは、損益計算書で読み取ることができる。

ただしリアルタイムの現金決済はあり得ないので、売上回収よりも支払いが先行すれば「資金不足」となり銀行借入等によって資金をつなぐことになる。

その資金調達ができなければ、後日回収できる債権があったとしても、その会社は資金不足によって倒産することになる。これが黒字倒産である。

これらは従来の貸借対照表によっても読み取れたことではあるが、会計の国際標準化の流れによって、より「資金」にクローズアップさせた諸表を加えたのが「キャッシュフロー計算表」であり、貸借対照表上での「ウソ」を見破る役目もある(架空売上・架空在庫や、回収見込みのない債権が他2表にあっても、キャッシュフロー計算書での資金逼迫状況によって見破られてしまう)。

●以上が、いわゆる「決算書」の核を占める財務3表であり、社長としては自社の財務3表を把握し説明する責務を要する。

ところが、商行為においての「儲かった」「損をした」は、上記3表中の”損益計算書”を指すのみであり、赤字は論外としても、商行為によって得られた収益を”会社の発展”のために利用しているのか、はたまた利益を生まないことに利用しているのかが分るのが”貸借対照表”であり、更にその会社の資金状況を知るには”キャッシュフロー計算書”が最適であるといえる。

これら3表は連動してはいるが、似て非なる諸表である。

従って、この3表を混同している経営者がかなりいる。

いや、経理担当者でもこの3表を、しっかりと頭の中ですみわけ出来ている方の方が少数ではないかと思える。

本書においては、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」という”会社経営の通信簿”たるこの財務3表がいかに連動し、逆にいかに異なった指標を示しているのかを分りやすく説明している。

売上をとってこれない社長は論外として、昨今の世界不況においては、社長の会計感覚が会社の発展を左右する時代である。

二代目社長のアナタは、社長としての”稼ぐ力”を備えるべく、売上獲得にとどまらずに、自社の財務3表を指標にしながら自社の経営に取り組むことをすすめる。

財務諸表を勉強するにあたり、とかく難しい書籍から入る方がいるが、まず理解できないであろう。

財務諸表の大局を知るうえで、財務諸表の苦手な経営者にもってこいの一冊である。

 

●おすすめ度→★★★★☆

 

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『マネーはこう動く』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『マネーはこう動く』 藤巻健史氏著

●元モルガン銀行東京支店長として、外資金融機関における日本人としては稀にみる成果をだした伝説トレーダーの書。

2006年12月現在の日本銀行のバランスシートは、約116兆円。負債の部にある発行銀行券は80兆円にものぼり、世界の中央銀行の中でも群を抜く規模なのが、わが国日本の中央銀行・日本銀行である。

つまり現在の日本においては、「マネーが余りまくっている」ということなのである。

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●一般的な経済論理としては、これだけのお金が余っていると供給過多になりお金の価値が下がり、反対にモノの価値が相対的に上昇する<インフレ>になってくる。

ところが、我々現代日本人にはそのような実感はない。

それはなぜか?

著者はその理由を、あり余っているお金の向かい先が「日本国債」にあるという。

つまりは、あり余ったお金は国の借金に様変わりしているのだという。

従って本来インフレに向かう要因である「金余り」が、国債購入に向かったために抑制されている状況であると語る。

そんな現代日本の状況を「580万円しか年収がない人が、8,300万円もの借金を抱えている状態」と例えている。

 

●では、このような金融危機にある日本国政府にあって、将来的にはどのような政策をとってくると考えられるのであろうか?

1.徳政令(国債をチャラにする)

2.リ・スケジュール(国債償還の延期)

3.インフレ政策

1と2は、国の信用根幹に関わるため、実際には3の政策に進む可能性を筆者は述べている。

借金が多くても、インフレによって償還時期には実質的なお金の価値(=国債償還金)が減少していくことによる国の借金償還構想である。

 

●そんな日本経済の「現状分析」から、日本政府のとるであろう政策を「予測」し、そこから考えられる「未来図」が投資の仕向先としては適切なのである。

従って、著者の想定するインフレ政策をとるであろう未来に備え、長期低金利でお金を借りて、そのお金で不動産・株・外貨建て商品を購入するという「インフレ対応型ポートフォリオ」を推奨している。

ところが、本書が発刊された2007年7月以降、サブプライム問題に端を発し、アメリカ経済どころか世界経済の破綻危機が起こり、推奨する資産群は大きく下落した。

少なくとも、著者の展望は短期的には外れたといえる。

 

本書を未来予想書とだけとらえると「当たった」「外れた」でしかなくなるが、著書の現状分析力、未来展望の解析力を参考にし、ぜひとも自分なりの未来予測論理を構築する一助としたい書である

”マネーがどう動くか”ということは、二代目社長のアナタの経営においても「会社経営をどう進めるのか」という前提条件になってくるはずである!

 

●おすすめ度→★★★☆☆

 

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『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い-禁じられた数字-<下>』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い-禁じられた数字-<下>』 山田真哉氏著

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』が大ブレイクした、山田真哉氏。

『さおだけ屋は・・・』においては、「難しい」と敬遠されがちな<会計>を、身近な事例において簡易に興味が持てる内容になっていた。

著者の本業は公認会計士ですが、会計そのものの解説よりも、<数字>のもつ意味や、<経営>においていかに数字の裏側を読み取るかということに力点がおかれた書であり、ベストセラーになったことも納得できる内容であった。

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その著者が、続刊として執筆したのが『食い逃げされてもバイトは雇うな<上>』

『食い逃げされても・・・<上>』においては、「感情より勘定」という考えのもと、会計・金銭から見た経営効率を解説しています。

従って、上巻においては、毎日4,000円の食い逃げがあるお店においては、1日8,000円のアルバイトを雇うのは、合理的会計見地からすれば非効率であり、やってはならない経営手法であると説いています。

 

●さて、今回発刊された下巻。

一転して、『・・・なんて大間違い』と上巻を否定したタイトル名になっています。

これは、上巻の考え方が間違っているのではなく、経営においては、会計・お金を「効率」的見地から見る立場と、「非効率」に見る立場の両面が必要であることを説いています。

前著の例を挙げれば、その日1日だけをとらえれば、食い逃げされることの方が、アルバイトを雇うよりは「金銭」的に合理的に判断されます。

しかし、そうそう毎日食い逃げをされるお店であれば、だらしないお店であるという悪評がたち、目に見えないうちにお客が減ってしまうことも考えられます。また、働く社員にとっても、ルーズな習慣が根付いてしまいます。更に、アルバイトを増員しないということは、その後の企業拡大を目指すことができないことにも繋がります。

そういった、瞬間のお金だけをものさしとしていると、経営の醍醐味や成長を失い、目に見えない数字に気付かないようになってしまいます。

本書・下巻においては、終始「数字の裏側を読む」センスや、数字を通して「考える」ことを諭しています。

数字にウソはない!

誰もがそう思いがちです。

従って、つくられた数字に翻弄されたり、数字の裏側に潜む経営内容を見落としがちです。

効率会計としての厳格な会計。

一方、数字にはウソやねつ造があるという目でみるセンス。

上下巻を通して、経営者は、複数の目を養わなければならないことが見えてくる良書です。

●おすすめ度→★★★★☆

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『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』 小堺桂悦郎氏著

●金融機関勤務→税理士事務所勤務→資金繰りコンサルタントという経歴の小堺桂悦郎氏の書である。

興味を惹かれるタイトルの如く、税や会計が苦手な方も、一通り読まれると理解が深まる書である。

「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」

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その問いに対する解答は、「4ドア」ならば会社の社用車として認められて経費になる一方、「2ドア」ではスポーツ志向の社長の個人的趣味となり、経費として認められない=課税となってしまう。という「節税」対策である。

そういったことを入口として、「経費」や「社用車の償却」、あるいは「耐用年数」などの会計用語・しくみを分かりやすく説明している。

他にも、インパクトの強いタイトルが目を惹き、税や会計が苦手な社長も、いかに経営者として「税・会計」を研究しなければならないかを悟るには持ってこいの入門書であると思う。

日頃、税や会計に無頓着な二代目社長のあなたも、是非一読してみてはいかがでしょうか。

●おすすめ度→★★★☆☆

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●税・会計に興味を持つための入門書としては、☆4つ、あるいは5つである。

でも、表題が僕の好みではない。

「ベンツ」に乗れるくらいの商才ある社長ならば、スポーツ車に乗りたければ、「自分の報酬」で乗ればいいだけのことである。・・・僕の先輩社長で、外車ディーラーをされている方は、自社PRのために次々と車種を換えているのに、「自分が乗るのだから」という理由で、自分の報酬で購入している。

社用車としてベンツに乗るという発想のある社長は、その車がPR車でない限りは、会社そのものが借金漬けであることが多い。更に、社員が給料に対して不平不満が多い。

余程の企業でない限り、社用車としてのベンツは行き過ぎであり、中小企業においては自滅への一途である。分相応が正しい!

そんなことに多くの力を注ぐ前に、<お客様づくり>に力を注ぐべきである。

従って、☆3つ。

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『スティグリッツ・マクロ経済学』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『スティグリッツ・マクロ経済学』 J.E.スティグリッツ氏他共著

●経済学は、<市場>における競争原理に委ねる「ミクロ」分野と、<公共政策>による「マクロ」分野から成る。

経営(学)を学ぶにおいえては、具体的な会社運営という身近な存在と対比させながら理解していくというのが一般的であろう。

しかしながら、経済(学)となると、その範囲がおおき過ぎる。更に難解である。もっとも、経済学を語れる学者は多くあれども、それを「解明」し、ピタリと「的中」させる学者となると稀であるから読者諸氏も安心されたし。

それだけ、人間がつくり出した経済(資本主義)は、アダム・スミスの名言「神の見えざる手」なのである。

経営者にとって、実践・実務の書になじみがあるのはいたしかたないが、経済の仕組みを理解し、「今」を読み解くにおいても、経済の「トレンド」(流れ・方向性)をつかむためにも、経営書以外に経済書にふれておくことも大切である。

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●そんな、難解な「経済(学)」を容易(とは言っても他書に比べればというレベルではあるが)に理解するために発行されたのが、ノーベル経済学者・J.E.スティグリッツ氏による経済書三部作ある。

本ブログにおいても、既に入門書である『スティグリッツ・入門経済学』と、『スティグリッツ・ミクロ経済学』を紹介させていただいた。

両書共、近年の改訂によって第3版を発行済でったが、一番遅れて、2007年の9月に本書も第3版が発行された。(購読される場合は、最新版を確認下さい)

経営という「局部」を理解するためにも、その戦場である「市場」を理解するために「ミクロ」を学び、そして、その「方向性」を読み取るためにも「マクロ」を学びたいものである。

マクロ経済は、国内政治(政策)や国際政治とも密接な関係にあり、経営者として、いち勉学者としての双方の興味によって学ぶとより興味が湧いてくる分野でもある。

難解な学問ではあるが、実は生活に最も密接しているのが<経済>でもある。

そういった視点で是非トライしていただきたく、トライするに値する書である。

●おすすめ度→★★★★☆

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『スティグリッツ・ミクロ経済学』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『スティグリッツ・ミクロ経済学』 J.E.スティグリッツ氏他共著

●ノーベル経済学者・J.E.スティグリッツ氏による経済書三部作の内の一冊である。

以前、当ブログにおいても、その入門書に位置付けられる『スティグリッツ・入門経済学』を紹介した。

経済学は難解である。

余程の勉強家でもないとさっぱり分からない。

かく言う僕も、経済学部卒業ではあるが、さっぱり分からない。・・・しかも、大学は留年した有様である。

多くの方も同様に「経済は難解である」と感じているのではないでしょうか?

それは、ひとえに、経済学という見えない事象を解明しようとする分野であり、しかも、日本においては、大学、経済関係の学部に行って初めてお目にかかる学問であるからである。故に、難解な事象を更に難解に説明しようとする書が多いがゆえであると思う。

上記『入門経済学』もしかり、スティグリッツ氏の書は、難解な経済学を「簡単に」そして「段階的に」解説しようと試みているので、他書よりも断然理解し易い。

身近な例から始まり、徐々に徐々に核心に迫ってくる。また、極力、経済学書にありがちな数式を敬遠しているのが、とっつきやすく、分かりやすい所以であると感じる。

●本書は、「入門」を読み終えた方を対象にした、各論編のかたわれである。

経済学は、「ミクロ(市場原理)」と「マクロ(公共政策)」によって究明されるが、そのミクロ分野の書である。

入門書同様、「分かりやすさ」に力点を置くものの、ノーベル学者としての学術的側面と、政府の経済要員であった実践者としての両面を伺うことができる書である。

高価で、ぶ厚い書ではあるが、是非チャレンジしていただきたい一冊である。

●おすすめ度→★★★★☆

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●投稿日現在、2006年3月発刊の第3版が最新版ですが、一読される際は、最新版をおすすめ致します。

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『法令入門』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『法令入門』 田島信威氏著

●法律を学んでいると、ふと「法律はどうつながっているんだろう?」と疑問に思ったことがあった。法律の根幹は<憲法>であるが、「民法」や「刑法」はたまた「会社法」などなど。書籍として発刊されているのは、ほとんどが各法律ごとの書籍であるが、一体、どのように関連されていて、どのように波及・枝葉しているのかを疑問に思った。

ところが、「法学」や「法の精神」あるいは「法律入門」などのように、<法>というものに接近している書籍はちらほら見かけるものの、僕の望む<法体系>の書籍は見かけない。

そういう視点で探しているうちに、やっと見つけたのが本書である。

●本書は、僕の求めていた<法体系>はもちろんのこと、<法の決まりごと>をも記載している書である。

法律家であり、法の実務家でもある著者ならではの記載が多く、法の持つ意味や法はどう整備されているのかが分かりやすく記載されている。

法務関係の部署に携わっている方はもとより、二代目社長のあなたにとっても、日頃学んでいる法律と法律を結びつけることによって、より一層法律を理解することができると共に、「定款」「役員規定」「就業規則」「業務規定」などの会社における法律を策定する際のヒントにもなる書であると思う。

●おすすめ度→★★★☆☆

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『憲法』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『憲法』 芦部信喜氏・高橋和之氏共著

二代目社長のあなたにとって、実務上最も関わり合いのある法律は『会社法』である。

その会社法もしかり、国の根幹となる法律が<憲法>である。

法律というよりも、国の精神と言った方が適切であると思う。

会社経営にとって、会社法は熟知しておく必要があるが、憲法は知識として知っておく法律である。従って、あまり右左等の自説が強い書はおすすめできない。そういう意味では、本書は東京大学教授であり憲法学の第一人者である芦部氏の著であり、その芦部氏の意志を継いだ高橋氏によって、いたって「フラット」かつ「簡素」に記述されているので、憲法を知識として学ぶにはうってつけの書である。

二代目社長にとって憲法を学ぶ意味は、憲法の「骨子」「構成」を感じ取ることにある。

憲法には、<人権の尊重><国の概念>が記載されている。

与えられた憲法を運用する日本人にはピンと来ないが、ヨーロッパをはじめ、多くの血を流し、王政から主権をかちとった国にとっての目的は、まさに人民主権であった。それ故、議会制政治をはじめとして、憲法によって人権を尊重し、「何人も憲法の下では平等」という精神が最初から根付いている。言い換えれば、「憲法に何人も従う」ということであるり、憲法を超越することは、王政、封建制への回帰であり、人権尊重を覆すことになる。もちろん人権尊重は自由なだけではなく、自由には義務が伴うことは言うまでもない。

●国における憲法は、会社における「使命・理念」「定款」「就業規則」「役員規定」等に該当し、会社の根幹となる事項であり、社長をはじめ働く者全てが従う憲法である

そのため、「使命・理念」、「定款」、「就業規則」、「役員規定」等は人権尊重の根幹であり、「経営者と言えども従っていく」と覚悟した内容でなければならない。その結果、はじめて自立した社風が培われるのである。

そういう見地で憲法を学び、「人権尊重」「国=会社の概念」を学び、会社運営に反映することが社会の一員である会社の、そのトップの使命であると考える。

「俺が憲法だ~!」

は王政政治であり、おしんの時代の経営である。それは、21世紀においては排他される流れにある。二代目社長のあなたは、憲法を学び、みなが幸せな会社の根幹をつくっていく責務がある。

●おすすめ度→★★★★☆

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●投稿時において、本書の最新版は、2007年3月発行の第4版です。勉学される際は、それ以降の最新版有無を確認されて、最新版での勉学をお勧めします。

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『商取引法』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『商取引法』 江頭憲治郎氏著

●会社経営の根幹法は会社法である。その会社法の理解を深めるために、商法、更には民法と広げて、再び会社法を学んでいく。法律家のように法律そのものを学ぶことも大切であるが、会社法において「今後の経営の流れ」「会社法から見た会社像」を学び、社長業に活かしていくのである。

二代目社長として、どのような企業をつくっていくのかどういう行動規範をもって進んでいくのかを、法律に則してとか法の目をすり抜けてとかではなく、立法の背景から会社像をつかみ自身の糧としていくのである。

●経営者として真っ先に注視するのが会社法であるが、法律においては、「会社」は「機関」に過ぎない。従って、自身の会社の所有、成立・解散、あるいは、機能が主論となる。

一方、会社という「器」は、実社会においては<商取引>によってその利潤を得ている。

ところが、意外と、この商取引そのものを論じた書が少ない。本書は、商取引法(商行為・保険法・海商法)を解説している。筆者の江頭氏は会社法も執筆する法律大家であるので、本書も純然たる法律書である。

しかし、経営者として、本書に触れる場合は、あまり細かい法律論そのものに目配りをさせずに、「商行為」においては、どのような法律が定められており、その法律背景から商行為を理解するための書として接すると良い。

本書の内容は、「商人間の売買」から始まり、契約の成立、商品の引渡し・受領、そして、代金の支払いという商行為から解説される。そして、国内売買と国際売買を対比させている。

次に、「消費者売買」を論じ、割賦、ローン、訪問販売、電話勧誘、通信販売等の各種販売形態における法律を解説している。

更に、「企業金融の特殊形態」、「流通諸営業」、「運送営業」、「倉庫営業」、「電気通信事業」、「保険業」、「信託業」と解説している。これらそのものを業とする会社向けというよりも、むしろ、これらと関わらない会社はないと言っても過言ではない。まさに、あなたの会社がいかなる営業品目でっても、これら商取引と関わって社業を営んでいることを鑑みることのできる書である。

経営者として、会社法、商法、民法にばかり目がいきがちであるが、その会社が活動する商取引に関わる法律は、意外とノー・ケアな方が多い。本書によって、会社の取引に纏わる法律にはどのような法律が存在し、法はどのようなことを定めているのかを学ぶことはもちろんのこと、同時にその立法背景を読み取り、二代目社長のあなたの経営に活かして欲しい。

とにかく、「読み物」としてながめていると、いろんなことが思い浮かんでくる書である。

●おすすめ度→★★★★☆

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●投稿時において、本書の最新版は、2005年4月発行の第4版です。勉学される際は、それ以降の最新版有無を確認されて、最新版での勉学をお勧めします。

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『監査役ガイドブック[全訂版]』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『監査役ガイドブック[全訂版]』 経営法友会編・商事法務発行

●当ブログで紹介した『取締役ガイドブック』の対をなす姉妹書である。

二代目社長のあなたは、<代表・取締役・社長>である。従って「取締役」であるので、自社の「監査役」を兼任することはない。

過半数株式を有する、いわゆる「オーナー会社」であることが中小企業には多いため、多くの中小企業経営者は、筋を履き違えているが「監査役は株主によって選出される」。従って、取締役の下部機関ではなく、会社を独自に監査する役目を担っている。

<会社法>施行によって、従来「会計監査」を主要任務としていた監査役の任務・権限に、「業務監査」の要素が加わった。つまり、監査役は会社全般の業務を監査する立場になり、法的にもその「権限と責任」が強化された。

中小企業の監査役で多く見受けるケースは、ベテラン従業員から昇格するケースと、税理士等の従来から会計監査の立場にあった方の社外就任ケースである。

会社法施行にあたって、監査役任務の範囲が拡大されると共に、その権限も強力になった。そのことは、監査役の責任も重くなったことと表裏一体の関係である。

監査役が自社または子会社の取締役を兼任することが禁止されている(会社法335条2項)。このことは、会社法により「子会社」の範疇が拡大されているので、あなたの会社がグループ企業ならば、先ずはここをチェックする必要がある。また、監査役は、自社または子会社の支配人その他使用人を兼務できない(会社法335条2項)。上記の通り、ベテラン従業員が就任するケースをよく見かけるが、法律的には実務内容を従来の通常業務をそのまま行うことができないと言うことである。更に、労災においては、代表取締役同様、加入できない。このととは、最も見逃しやすい点である。一方、従来の「会計監査」の任務上、顧問税理士等が就任しているケースもよくあるが、これは自社決算の「お手盛り」となることから、最近は自粛傾向にある。

監査役は、監査役としての「独立」任務を遂行せよ!と言うことである。

何れのケースも「本人自身に法的自覚が無い」ことが危惧される。「名義貸し」も同様である。裏返せば、経営者の姿勢に監査役の職務を全うしてもらい、会社の「コンプライアンス(法令順守)」「ガバナンス(統治)」を強化しようとする意向が無いことを意味する。冒頭にも述べた通り、特に中小企業においてはオーナー社長が多い。従って、本来「株主総会」によって株主から選出される取締役・監査役が、株主総会無視・形骸化によって選出され、一般人事の如く就任することから生じる。そのため、そういう就任経緯の方は自覚・責任の欠如が多い。

当事者に言っておく、「自身が承諾た結果としての就任である」。後になって「知らない」は世間では通用しない。このブログの読者で、安易に取締役・監査役に就任されている方がいれば、是非自問自答して欲しい。就任したときに、「承諾」の意志を示したはずである。自己責任なのである。その自覚と責任が無いのであれば、勇気を持って辞任することをお勧めする。

●本書は、「役員」「取締役」「監査役」の区別を分かりやすく説明し、法律条文解説に留まらずに、ケーススタディとしてよくあるケースの質疑応答形式も記載され、シンプルではあるが「監査役の責務と権限」を理解するにはもってこいの良書である。空いた時間、何かことがあるときに、シンプルに発見・理解できる「第1に調べる書」としてうってつけの書である。是非とも『取締役ガイドブック』と共に手許に置いておくと良い。

●おすすめ度→★★★★☆

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●本記事載時点で、本書の最新版は、2006年8月発行の[全訂版]である。本書に限らす、会社法関連書は、会社法施行後発行かつその書の最新版であることを確認のうえ購入・勉学されることをお勧めする。

●社内昇格する監査役の責務と苦悩に関しては、コミック『監査役野崎修平』が非常に参考になるので、是非一読されたし。

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『リーガルマインド手形法・小切手法』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『リーガルマインド手形法・小切手法』 弥永真生氏著

●商取引を行う上で、<手形><小切手>は欠かせない。

多くの会社においては、入金・支払の決済において、手形・小切手を使用する。小売店のように、現金入金会社においても、支払いを手形でするケースが多い。また、その逆で、支払いを現金で行っていても、入金を手形・小切手で受け取るケースもよくあることだ。

従って、二代目社長のあなたは、手形・小切手に関して、その商取引上の「機能」「法律上の意味」熟知しておくことが必要不可欠となる。

本書は、当分野において第一線で活躍する弥永真生氏が著し、法律書の定番である有斐閣から発行されているので、安心して学べる書であると思う。

●小売店を例に挙げれば、お店が商品を購入してから、実際に商品が販売され、現金として入金になるまでに時間を要する。一方、日本の商取引の慣習では、1カ月単位の月締め支払いがほとんどであるが、仕入れ代金を現金で決済しようにも全ての商品が販売・現金化されていないことが多く、そのため登場したのが<手形>である。手形には、約束手形、為替手形があるが、流通上のほとんどは約束手形である。簡単に言うならば、金融機関を介して、期日に支払うことを「約束」した「証券」である。但し、金融機関を決済機能として使用しているに過ぎず、金融機関が保証しているわけではない。ちなみに、世界的には手形という商取引決済方法は日本独特の商習慣で、海外取引の主要は「現金」決済である。しかも「前払い」が主流であり、商品の確保と交換の場合も、事前に金融機関に該当資金を確保・証明して、最終物々交換の取引形態を取るので、何れの場合も事前資金確保が前提となる。経済のグローバル化と共に、手形の商習慣は薄れていくと想定する。

商売人として法律上<手形>を学ぶ重要点は、「①手形の持つ意味」「②連続取引(譲渡裏書)の持つ意味」「③詐欺等にあわないための予防」である。

手形は、先日付に現金化すると約した証文である。従って、即現金に比べて、決済日までの「金利」が掛かっていることを考慮する必要がある。更に、その間の「貸し倒れリスク」があることを肝に銘じておく必要がある。

見積り・契約段階で、「支払い条件」を決定しないままに取引を行うケースをかなり見かけるが、このことは、金利や貸し倒れリスクを考慮しないことを意味し、利幅減少の昨今にあっては、実質赤字取引となることもある。ましてや、相手先の与信を考慮せず、最悪相手先が倒産した場合には、紙クズ同然となってしまう。

また、「手形の裏書譲渡」にも考慮する必要がある。「詐欺」や「貸し倒れ」防止からも、得体の知れない相手の発行する手形は受領しないことはもちろんのこと、振出人(決済者)や途中の裏書人においても、得体の知れない裏書がある場合や、あなたの会社に回ってきた経緯から商取引上不穏な形跡がある手形を受領しないことである。と言うのも、「融通手形」と呼ばれる資金用途の手形であったりして、振出人が不渡りを出した場合の途中裏書人に十分な決済資力が無い場合が多いからである。

ちなみに、振出人が不渡りを出した場合、途中支払人の裏書順位に関わらずに、所持者は請求できる。また、中小企業の多くは、金融機関で「手形割引」によって受取手形を担保に借入を行っているが、不渡りの場合には支払い義務が生じるのである。

とにかく、ややこしい取引・ややこしい相手からは、手形を受領しないことが重要であり、そのためにも契約・納品前に支払条件を確定させておくことが必要不可欠である。

●一方の<小切手>は、現金同等である。昔は、多額の「現金」の代わりに小切手が使用された。但し、小切手の多くには<銀行渡り>という「線引き」が押印されているケースがほとんどである。これは、所持人が金融機関へ持ち込んだ際に、キャッシュそのものの前段階として、所持人の口座を通して換金者を特定させ、紛失・盗難・詐欺等の防止目的がある。

また、発行店以外では、通常、2営業日後に現金化されるので、小切手=現金ではあるが、その間の資金繰りや貸し倒れリスクがある。振込によって小切手の流通は減少しているものの、海外では手形が無い代わりに小切手の流通は日本以上に日常的に行われている。そのため、日本ではあまり配慮されていない小切手の貸し倒れも多い。国際化によって、日本でも小切手の流通が増えるやもしれないが、小切手にも貸し倒れリスクがあることを念頭に置いておく必要がある。従って、小切手=現金だからと言って自社の金庫に放置せずに、即刻金融機関へ取り立て(現金化)に持ち込むことを習慣化するようにしなければならない。

そいった小切手の構成要件や意味を理解して発行・受領する必要がある。

●以上のように、日本の商習慣である<手形><小切手>を何気なく取り扱うのではなく、二代目社長のあなたは、会社の屋台骨として、その意味を理解して取り扱うようにしなければならない。本書はシンプルでありながら、ひと通りの内容をつかむにはもってこいの良書である。

●おすすめ度→★★★★☆

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●本書の内容ではないが、商取引上「現金」決済に勝るものはない。但し、二代目社長のあなたにも経験があろうが、現金の場合は、支払日を延期されたりして「反古」にされる可能性が残る。そんなときには、社長であるあなた自身が即刻相手先を訪問することである。そして、支払日を約束したならば、そこで終わらずに、その支払日と一致した「手形」(小切手は先日付も法律上は換金可能なので、相手先も拒絶することが多い)を受領してくることをお勧めする。手形は何にも勝る「証文」であり、相手先も手形ならばその場で発行するケースが多いからである。くれぐれも口約束で引き下がらないように。

●今回紹介した本書は、2007年4月発刊の<第2版補訂2版>が掲載時時点での最新版です。実務用として購入する場合は、最新版を確認のうえ、最新法務に対応したものを購入することをお勧めします。

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『スティグリッツ・入門経済学[第3版]』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『スティグリッツ・入門経済学[第3版]』 J.E.スティグリッツ氏他共著

●学生が夏休みを迎えた、7月22日の本ブログで、『高校生のための経済学入門』(小塩隆士氏著)を紹介したが、本書は、更に専門色を強めた、大学生等の専門家の経済入門書のグローバルスタンダードである。

スティグリッツ氏は、米国生まれで、マサチューセッツ工科大学院卒業の後、数校で教鞭を執り、現在はコロンビア大学で教鞭を執っている。日本においても、一時期慶應義塾大学の客員教授も務め馴染みが深い。また、クリントン政権においては、米国大統領経済諮問委員会委員長も務め、その後、世界銀行でも活躍した。

スティグリッツ氏の著名な業績は、ある経済主体が他方の私的情報を得るために使用される技術である「スクリーニング」に関する業績である。『情報の非対称性の理論』に対する貢献によって、2001年にノーベル経済学賞を受賞している。理論経済学者であると同時に、数学的手法を使わずに、東欧の社会主義が失敗した背景や、市場における不完全情報の機能(自由な市場)が、資本家にとってどのようなシステムなのかに関する誤解を記した。

現代経済学者を代表するひとりである。

●本書は、このような学術・市場・政府等の多面的経歴を持つトップ・エコノミストの著者によって、経済学理論に留まることなく、金融・国際経済等の多様な分野に言及している。しかも、決して難解ではなく、また、経済学書にありがちな数式の乱発でもない。

特に、前半部分では、経済の原理を噛み砕いて、あえて数式を避けて、ゆっくりと論理的に解説しており、まさに「入門書」として最適である。但し、後半部分は、若干数式が登場するが、経済学の性質上がんばって読み込むしかない。

「経済学は楽しくない」と感じる方の多くは、その「数式」に嫌気がさすのだと想像する。学術書は尚更その傾向が強く、「数式」は言わば「回答」であり、その「回答」に価値の重きを置いているからだ。しかしながら、本書では、多方面で経験を積んだ著者ならではの「理論」によって、市場や社会の「しくみ」を理解することに重きが置かれている。そのため、結論を暗記するのではなく、そのプロセスが分かりやすく、ゆっくりと読み進める内容になっているために、「しくみ」が理解しやすい。

学生のみなさんにとっては、夏休みも終盤に突入しました。社会人のあなたも、学生になったつもりで、是非今日から読んでみませんか?夏休み終了までに丁度読み終わる歯ごたえのある書であり、きっとあなたの学識を高める書だと思います。

●おすすめ度→★★★★★

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『食い逃げされてもバイトは雇うな<上>』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『食い逃げされてもバイトは雇うな<上>』 山田真哉氏著

●この本は、「66万の目からウロコが落ちた」そうである。→「うあぁ!すげぇ~!66万人も見たのかよぉ!」・・・。

本ブログでも紹介した『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者として有名な、公認会計士・山田真哉氏の近刊である。『さおだけ屋・・・』では、身近な商売の事例から、損益等の「会計」に対して、おぼろげにでも興味を持つことを主眼とし、商売のカラクリを感じさせていた。本書は、上・下2巻の構成のようである(下巻は、未発刊。近日発刊予定とのこと)が、本上巻では、「数字」の使い方に焦点をあてて、<数字にうまくなる>ことを目指している。

数字に「強くなる」ではなく、数字に「うまくなる」ってどういうこと?

冒頭の事例・・・「66万の目」=「66万人」ととらえた方は???。正解は「33万人」である。

●これは本書のほんの一例であるが、次の事例もおもしろかった。

「サッカーのスウェーデン代表は、かの強豪イングランド代表を相手に1968年以来、ただの一度も負けておらず、無敗神話を続けている!」

これを見たあたなは、「これは凄い!あのイングランドに39年間も負けていないのか」と読むことだろう。

しかし、実際は「12戦4勝0敗8分け」なのである。別に驚くほどの数字でもない。ここでは、39年間という数字と、0敗=無敗という数字に着目し、それをクローズアップさせたに過ぎない。

なんとなく、「数字がうまい」とはどういうことかを連想いただけたであろうか?

「数字がうまい人とは、数字を記号として見るのではなく、言葉のひとつとして、表現のひとつとして、積極的に使っている人」をいうそうである。

すなわち、数字のうまい人とは、言葉の端々に、「数字」を使い、数字に「意味」を持たせる人である

本書では、「なぜ数字には説得力があるのか」「数字をどう表現すればよいのか」が記載されている。そして、『さおだけ屋・・・』同様、身近な事例を多用し、より実感がわくような構成になっている。

●近日発刊予定の下巻では、「ビジネスや会計の見方」を述べているとのこと。筆者は、本書全般を「数字がうまくなる技法」と述べているが、その下巻に繋がるべく、本書の終盤は、企業会計・決算書を例に、うまい分析方法を掲載し、下巻へのイントロダクションにもなっている。本上巻のみでも完結しており、1時間半程で読めるので、おすすめです。前作同様、目からウロコの話が満載です。

●おすすめ度→★★★★☆

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『投資の心理学』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『投資の心理学』 ローレンス・E・リフソン氏、リチャード・A・ガイスト氏共編

<投資>という言葉から、多くの方は、「株式投資」を連想し、その株式投資にまつわる風説によって<投機>を連想する方も少なくないと思います。

株式投資は、上がるか、下がるかによって財が増減し、そのため誰でも儲ける可能性を秘めているので、丁半博打に例える方も少なくありません。しかも、レバレッジにより、元手の何倍もの資金を動かすことも可能であり、投資先の企業が破綻すれば、財産はパーという状況に陥ります。しかも、昨今の規制緩和や、ネットの発達により、一般人も直接取引が容易となって、尚更、損をした人を見て博打と言う人がいます。

確かに、そのような側面は否めませんが、企業も投資をしています。会社の建物を大きくしたり、設備を新調したり、新入社員を雇用したり・・・とういのは投資です。金銭を使って、より大きな資金を稼ごうという行為は、全て投資と言えます。また、社外にも、預金による利息を得たり、株式等の配当・売買益によって直接資金を大きくしようとしたりしています。

つまり、会社経営は、投資の繰り返しと言うことができます。

但し、本来、投資には時間がかかり、特に会社経営である以上、論理的根拠を持って投資しないと、冒頭の丁半博打になる恐れがあります。それは、もはや「投機」と言えます。

●本書も、投資の最も顕著な株式投資を主体に、投資に関連する人々がどのような<心理>によって売買をするのかを分析しています。

よくあるケースですが、保有銘柄が値を下げてもひたすら持ち続けるのに、ちょっと値が上がっただけで売却してしまう。それを繰り返すことにより、資金が目減りをしてしまう。特に、一般投資家に多い例です。それは、一般投資家は群集の風説に左右されやすく、論理的根拠ではなく、心理的側面で売買していまうからです。値を下げただけでは損が確定せず、そのために、損を確定することを恐れ、一方、得をしているときには早く確定する心理が働いてしまいます。

本書は、株式投資が主体の内容ではありますが、株式投資のみならず、「投資」というマーケットを構成する行為に、群集はどう反応し、それにより、個人はどう反応していくかという分析をしています。

本書の目的は、学問的裏づけを有しながら、実務的記述により、投資行動全般に心理学の成果を適用することにある。そのため、臨床的心理学者、経済学者、金融関係者など多岐に及ぶ専門家が参加し、その個別論考やエッセイを集めた書籍である。そのため、体系的ではないが、狭義にとらわれない視点で読むことができる。

個人投資の活性化、M&Aという会社売買の活性化・・・今後、投資行為は日本においてもますます顕在化していく。その中で、二代目社長として会社投資を実施する立場にあるあなたは、指標テクニカルのみならず、「なぜそうなるのか」「そこからどうなるのか」を読む必要がある。そのためにも、その現象を引き起こしている「人間心理」を知り、<心理学>と<行動ファイナンス>の関連を学ぶ必要がある。

そんなときに、おすすめの一冊です。

●おすすめ度→★★★★☆

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『高校生のための経済学入門』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『高校生のための経済学入門』 小塩隆士氏著

●「経済学は難しい!」

私も経済学部出身ですが、まさにそう思います。

一方、「経済学なんて知らなくても、商売はできるよ」

創業社長に多い言葉です。それも一理あると思います。

経済学を学問と捉え、そこから連想して、学問=机の上だけの論理→自分の商売の規模では関係ないやと考えがちです。また、「世の中(市場)を動かせる訳ではないんだから」とか「経済学を学んでも物価の推移は分からないよ」とも考える方も多いと思います。

それらは、「頭を整理」することによって、考えている場所が違うことに気付いていただきたいと思っています。「政府の介入(マクロ)→市場のメカニズム(ミクロ)→会社の経営→商売」。乱暴にまとめるとこういう図式です。ですから、「需要と供給」を意識しなくても、創業期は売上があれば世の中のしくみを考えなくても企業は成長します。ところが、同一商売を永年やっていると、どこかで飽和状態に行き着きます。また、右肩上がりがストップすると、在庫の管理ができなければ、黒字にも関わらず、資金がショートしていきます。

創業社長は、右肩上がりの中で成長してきましたが、二代目社長のあなたはそうはいきません。しっかりと「経済のしくみ」を理解して、企業をコントロールしていく必要がでてきます。

とは言っても、やっぱり経済学は難しいです。

それは、つかみどころがない領域であり、かつ、高校生でかじることはあっても、経済学として登場するのが大学生になってからなので、会社経営をされている方でも経済学に関わってこなかった方も多く、みんなが知っている学問なのに「なじみがない」と言うことではないでしょうか。

●そこでおすすめなのが本書です。

高校でちょこっとだけ授業に登場する悪影響で、経済学は社会=暗記科目という意識を持ちます。ところが、経済は過去を紐解き、未来を予測して初めて会社経営に役にたつので、「考える」学問です。しかも、経済書の多くは、「需要と供給」から始まり、曲線や、さらには数式が登場して、チンプンカンプンになってしまいます。そのため、先にも述べたように、多くは大学生を対象とした書籍が並ぶため、具体的事例=導入部なしに説明されてしまいますから、理解する前に挫折しがちです。ましてや、知らなくても商売に影響が無いと思われています。ところが、このメカニズムを知ると、商売が「儲かる」ようになって行きます。「売上=儲け」ではありません!

本書は、題名にもあるように、「高校生」を対象にしています。

そのため、先ずは十分に、身近な事例で経済の仕組みを説明しています。自分のお小遣いをどう使うのか?その使い道はどうやって決めているのか?はたまた、自分が買おうとしているCDは、どのように価格が決まっていくのか?などなど、知らず知らずのうちに、経済のしくみがピンとくるようになります。ここで登場する高校生は、会社と同じです。経済学で言う「ミクロ経済」です。

次に、「政府」が登場します。なぜ政府は必要なのか?お金はなぜ必要で、どうやって回っているのか?税金と財政とは何だ?といった「マクロ経済」を説明しています。

●学生のときは、経済というものを新聞等でしか目にすることのない机の上での学問でしかなかったと思います。ところが、社会人になって、最も密接してくる学問です。社会に出て、実地をして再び学び直すと、実践との理解が深まります。

高校生も夏休みに入りました。高校生になったつもりで、夏休みの間に読んでみませんか?

PS.ちゃんと、次に紹介する経済学書も決めているので、先ずは、身近な領域でおぼろげにつかんで下さい。

●おすすめ度→★★★☆☆

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『M&A・事業再生用語辞典』

《あしたのための読書:企業再生編》

★『M&A・事業再生用語辞典』 藤原総一郎氏他共著

●辞典と題してはいるが、国語辞典や経済用語辞典のように、単語を並べた書ではなく、事業再生の解説書である。藤原氏は、事業再生分野で有名な「森・濱田松本法律事務所」のパートナー弁護士であり、その道で名前の売れている弁護士である。従って、本書も法律的視点から記載されている。

事業再生において、著者が重要と思えるキーワードを体系的に掲載し、そのキーワードの解説文を2,3ページにわたって記載している。各種の関連書籍を学ぶ過程においての補完書としてもよく、また、本書を読み終えて細部の関連書を読むのもよい。

章として挙げているのは、次の通りである。

第1章 M&A

第2章 買収防衛

第3章 ファイネンシャル・ステートメント

第4章 バリュエーション

第5章 事業再生

第6章 取引規制

第7章 資金調達

以上である。

●企業再生を手がけるとき、ステーク・ホルダーとなる、株主、金融機関、販売先、仕入先、社員・・・。細部の交渉と、全体の流れを調整しながら、しかも、並行して実施する必要がある。

常日頃述べているように、「企業再生は事業再生」であり「事業再生の源は人間力」である。そういう経営道的根幹を磨きながらも、経営破綻寸前の企業を再生する場合は、片一方で<法律>とにらめっこしながら進める必要がある。

経営は経営者、法律等は弁護士・税理士等の士業に、と考えている社長が多い。しかしながら、自社の経営を再建する法律・税務のサポーターとして士業の方が就いているということを忘れ、法律・税務等を理解しようとしない社長が多い。士業の方は、その道のスペシャリストではあるが、あなたの会社の経営者ではない。経営力が欠けているという話ではない。「経営判断をする立場にない」ということである。従って、依頼主であるあなたが「方針を決める」のが大原則である。しかしながら、現実は、金融機関・債権者が発言力を持つようになり、経営者もオロオロとなって、「誰も判断しない」という状況に陥ってしまう。

経営に窮する会社に立ち会うと、社長は「まな板の上の鯉」ということが多い。社長自身が判断して良いのか否かが分からず、そのうちに社長自身が無責任化してしまうことが多い。そのためにも、トータル的にまとめる経営コンサルタントや自身の内外の側近を交える必要がある。上場企業の例では、ほとんどのケースは、従来の債権者との関係のない者がトップに就く。そうしないと、経営の発言力が保てず、経営者不在となれば再生そのものが形骸化してしまうからである。

企業再生と法律は密接な関係にある。

特に、会社法が施行され、本年三角合併が解禁されると、<M&A>とも密接になってきた。会社・社員あるいはのれんが重要であれば、会社の売却も視野に入れなければならない。そのことは、経営に窮する企業ばかりではなく、体力の弱ってきた企業がターゲットとなりやすいことからも、これからクローズアップされてくる事項である。本書は、会社法施行後の書であるので、現在の法律を考慮して記載されている点もおすすめ理由のひとつです。

法律は、突き詰めれば難解なことが多い。それ故、法律判断を放棄してしまう社長が多いが、実際はどうであれ、形式上は「依頼主」である。そのためにも本書を読んで、まずは概略を掴んで欲しい。何も法律家に成れということではなく、法律家と話ができる程度の知識がなければ、経営者として法律判断ができないからである。

最後に、弁護士は最難関な資格であり、高学歴の方がほとんどである。それ故、弁護士と話をしていると、コンプレックスを持って対処する社長が多い。繰り返す、依頼主はあなたです。あなたの意向(○か×か。右か左か。)がなければ、どんなに優秀な弁護士も問題を解決できません。経営者として、法律知識を学びましょう。

●おすすめ度→★★★★☆

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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』 山田真哉氏著

●ちょっと前のベストセラーですが、未だに書店で平積みされている人気書です。

書店に並んだときに、直ぐに購入しました。購入したときは、会計・経理書の類かと立ち読みして購入しました。著者は、会計を分かりやすく説明した書と述べていますが、いわんや、「商売を分かりやすく説明」し、商売のヒントが満載の書です。

●先ず、書籍名にあるように、「さおだけ屋は、なぜ潰れないのか?」

「なぜ、さおだけ屋は潰れないのか?」→さおだけが特別利幅のある商品なのか?・・・いや違う。

「さおだけ」はそんなに需要があるのか?→これも違う。

じゃあ。どうして潰れない=儲かっているのか?

このことを著者は次のように説明している。

「さ~お屋。さおだけ!」・・・皆が知っている、懐かしいフレーズである。この皆が知っているということは、永年同様な行為を行って、消費者が認知しているということである。会計用語としては、「ゴーイング・コンサーン」という。

そして、さおだけ売りは、「副業」だということである。

本業の行き返りに、運賃(トラック代・ガソリン代・人件費)が掛かっている。これらは、固定費であって、儲けを生み出さない移動時間にも掛かってくる。ならば、移動時間に商売すれば「まる儲け」であり、それがさおだけ売りなのである。更に、その人が玄関修理屋さん等の日常とマッチングした商売ならば、さおだけ売りを入り口として、違う商品をPRすることが可能である。

ここで、固定費と儲けの関係という会計を分かりやすい事例をもって説明しているばかりか、商売のコツやヒントも発見できる。

●もうひとつおもしろい事例をあげている。

「ベッドタウンにある高級フレンチ店」

高級レストランは、街中と相場が決まっている。しかし、著者の知るレストランは、ベッドタウンにあり、しかも、価格を下げる気配がない。

著者が興味を持って観察すると、そのレストランは、もちろん「本業」としてディナーの儲けで経営しているが、それだけでは継続が難しいと観察していた。そして、答えは「昼」にあった。昼の時間帯に、近所の主婦を相手に、「料理教室」を開催している。受講者は、「高級フレンチ店」の味が学べ、それを口にできるのである。ディナーは高額で、とても手がでなくても、料理教室の習い事代ならば可能だ。しかも味わえる。だからこそ、高級店でなければならず、価格を下げないのである。

ここにも会計と商売のミソを掴むことができる。

●その他にも、在庫だらけの自然食品店の「在庫と資金繰り」の関係や、完売したのにおこられた「機会損失と決算書」の関係、あるいは、ギャンブラーの「回転率」、ワリカン支払いを取りまとめるときにカード支払う人の「キャッシュフロー」等々、「あ~あ、そうなんだ」と思わず次々と読み進める内容を事例に挙げ、最後にこう締めている。

「数字に弱くても数字のセンスがあればいい」

数字のセンス。まさに、商売のセンスである。

ひと晩で読めますので、是非読んでみて下さい。僕は、3回読みましたが、それでも思わずハッとして気付いたり、微笑んでしまう「何気ない日常に多くのヒントを発見できる」書です。

●おすすめ度→★★★★★

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『会社法』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『会社法』 神田秀樹氏著

●刑法・民法。民法の中でも更に商売に特化した法律が従来の商法。商法の中でも更に細則を定めたのが従来の有限会社法、その他関連法規である。

その商売関連の法律が、「会社法」として、独立施行されてから1年。丁度、この6月にピークを迎える各社の株主総会で始めての運用1年となり、その実施評価を待つことになる。

●会社の代表者となるには「免許」が不要である。

それ故、この「会社法」を知らなくても会社経営が可能であり、知らないまま会社経営を行っている社長を多く見かける。

自動車には運転免許が必要であるが、このことを自動車運転に例えるならば、運転技術があることと、実際の道路上で運転することは、全く別物である。

運転技術があるからと言って公道で運転しても、右側通行、左側通行を知らなければ、大事故となる。

会社経営におけるルールが「会社法」である。

しかも、税理士に税務報告をお任せの社長も多いが、決算報告を税理士に任せた場合は、取り扱い税理士名が記載され、その税理士の名の下、報告が行われるが、登記しかり、会社法に関連することは、一切社外の関与者名が出てこない。登記を専門家に任せていると言っても代書なのである。

更に、本「会社法」に移行されるにあたり、かなりの各社による柔軟性がでてきた。

例えば、会社組織。従来の取締役会設置、取締役数ひとつをとっても、会社法においては、従来通り取締役会を設置するか否か。設置しない場合(この場合は、株主総会にその機能を求めることになるが)は、取締役1名でも可能である。

このことは、あなたの会社組織(機能)は、あなたの会社が「選択」したことを意味する。

知っていても知らなくても、あなたの会社(株主・取締役等)が「決定」したことを意味する。

それを代書して登記して公ににているのである。

●会社法施行によって、かなりの幅がある会社運営方法を、各社が選択できるようになっている。

それ故、従来以上に、あなた自身が理解する必要がある。

「法律違反をしないため」はもちろんのこと、あなたの会社に適切な機能をもたせるように戦略として「選択」して行かなければならない。

特に中小企業においては、リスクがあるにしても、取締役3名以上という従来の商法(株式会社)規定の取締役数の縛りによって、実務上取締役にしなくてもいいような業務部長を取締役にし、そのため、高額報酬や交代できないという事態や、更には取締役であるがために金融機関から連帯保証を求められたりするケースがでてくる。

株式数の大多数を保有し、資金も自分で手配しているような家族型会社においては、いっそうのこと、取締役を自分ひとりにして、経営と業務遂行をはっきりと分離するのもひとつの選択肢である。

●書店に行くと、会社法に関する書籍が多くある。

本書は、実務入門書ではなく、学術書の類である。

そのため、いささか難解な内容もあるが、会社法にはどのようなことが記載されていて、それは何を意味するのかを理解するのに是非手許に置いておきたい書である。

法律家を目指す訳ではないので、大まかに項目を押さえ、必要なときに読み込むと良い。

学術書としては薄いので、他の学術書に比べて理解し易い。

●株主総会を控えている会社も多い時期、是非一読して、会社とはどのような機能を果たす組織なのか。どうやって自分は「代表・取締役・社長」となっているのか。株主総会では何を決め、取締役会では何を決めるのか。理解したうえで臨んで欲しい。

形式だけを追い求めても実にならないが、その形式=ルールすら無視すると、他人資本を求めるのは無理と覚悟した方がよい。

更に、現在の会社法の柔軟性を理解し、あなたの会社にとって必要な(適切な)組織を創ることを考えるに最適な書であるとお勧めします。

●おすすめ度→★★★★☆

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●株主総会前に、併せて一読しておきたい書籍(「あしたのための読書:法律編」カテゴリーにも記載してあります)

会社の値段 :会社価値を考えるのに最適です。新書ですので、合間にいかがですか。

会社法対応 取締役ガイドブック :取締役に関して理解するのに最適です。Q&Aが豊富なので、実務にも即役に立ちます。

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『日本の税金』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『日本の税金』 三木義一氏著

●法律関係の書籍に比べて、税務関係の書籍は、体系書・理論書が少ない。

税務関係の書籍と言えば、納税実務の書籍が多い。

それ故、税務を論理的に学ぼうとすると、どの書籍を、どういった手順で学べば良いのか悩むところである。

そんなときにお勧めなのが、本『日本の税金』である。新書サイズなのに、日本の税金体系はもとより、著者の税金に対する考えをも述べている非常にまとまった入門書である。

●「所得税」「法人税」「消費税」「相続税」「間接税」「地方税」等々、日本の税金にはどのような税金があり、どう体系だてているかが分かりやすい。

また、各税金の概要と共に、どうしてそのような税が存在し、誰に対しての税なのかが、おぼろげではあるが見えてくる。

それらを入り口として、現行の日本の税金は「何が問題なのか」「どう変えて行くべきなのか」を筆者ができるだけ庶民の観点に立って述べている。

●例えば、「所得税」は、「誰に課す税なのか?」

圧倒的に比重の大きいサラリーマン家庭においては、夫婦(所帯)に課すべきなのか、はたまた、個々人に課すべきなのか?

また、「所得」に課すべきなのか?それとも「人」に課すべきなのか?

分かりやすく「税」を説明した後に、著者の主観も含めて疑問符を投げかけているので、税の理解はもとより、<税を考える>ことのできる良書である。

●二代目社長のあなたの使命のひとつに、<社会貢献>があります。

会社が直接行う社会貢献もひとつの方策ですが、納税を通して、間接的に社会貢献をするという行為は軽視されがちです。

<納税>は社会貢献のひとつであり、会社の社会貢献の尺度のひとつでもあります。

脱税は論外として、「税」に関する書籍の多くは、「申告」や「節税」書籍の多い中、「税」そのものを考えるに取り組みやすい書籍です。

税務は、税理士にお任せしている社長も多いと思いますが、「納税者」として、ひいては、会社の社会貢献の尺度のひとつとしての「税」そのものを考えることによって、あなたの会社経営の理念をより幹の太いものにしてみてはいかがでしょうか。

●おすすめ度→★★★★★

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『取締役ガイドブック[全訂版]』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『取締役ガイドブック[全訂版]』 経営法友会・商事法務

二代目社長であるあなた。・・・<社長>って法律上どうなってるの?

以前も触れましたが、「車の運転をするには、交通関連の法規を遵守」したうえで運転します。その資格がある方にのみ「運転免許証」が交付されます。

しかしながら社長には免許証が必要ありません!

そのため、法令を遵守しないどころか、法令を知ろうともしない社長のなんと多いことか。

会社経営は、法律という社会のルールに則って運営されます。

経営目標に法令順守があるのではなく、あなたの目指す経営の実行過程において、社会のルールを前提とするということです。

また、法律を学ぶことによって、「会社の所有」等の法律上の解釈が分かり、あなたの経営理念の参考となります。

●社長は、正式には<代表取締役社長>です。

代表取締役社長は、「代表・取締役・社長」です。

あなたは、先ずは、会社のオーナー(所有者)である「株主」によって<取締役>選任されます。

オーナーである株主が、会社経営のプロであるあなたを取締役とし、会社経営をオーナーに代わって任されるのです。これを「所有と経営の分離」といいます。

次に、「取締役会」において、取締役間の互選によってあなたは<代表取締役>となります。従って、取締役の中で誰を代表取締役とするかを決めるのは、株主ではなく取締役相互です。

また、取締役も代表取締役も「本人が受諾」して就任となります。ですから、あなたが了承してなったんです。「させられた」という言い訳は通用しません。また、その瞬間から、就任以降の会社行為はもちろんのこと、過去の会社行為も継承することになりますので「知らなかった」は通用しません!

一方、<社長>というのは、あなたの会社内での「役職名」であるので、法的な事項ではありません。部長・課長といったあなたの会社内での役職名と同等です。とはいっても、社長は会社を代表する訳ですから、通常、代表取締役です。商行為においての法的にも、当然ながら「社長」であれば「代表取締役」であると解される(表見代表者といいます)判決がでるでしょう。だから、営業上等の理由で、(代表)取締役等でない者がそれらを表記した名刺を持つ(持たせる)ことは、絶対に避けるべきです。また、会社の代表取締役は、複数選出できますので、会長・副社長等で代表権を有する会社も多数あります。

法務局に登記する事項には、「取締役」そして「代表取締役」しかなく(本記事の趣旨以外の監査役他もありますが)、社長とかの役職名は登記事項ではありません。一度登記簿で確認してみるといいですよ。

<社員><取締役>「雇用」「株主による選出(委託)」の関係であり、その違いは一線を画します(偉いという意味ではないですよ)。

また、<取締役>と<代表取締役>もその権限に大きな違いがあります。

<代表取締役(社長)>・・・法律が意味することを十分理解したうえで、あなたは会社経営を運営して行かなければなりません。

本書は、読み物ではありません。国語辞典のように、何か気になる事項があるとき確認のために手許に置いておく書です。会社法・商法等の書物はたくさんありますが、「取締役」関連法規に絞り込んだ書は以外に少ないです。

また、法律関連で第一線をいっている出版元ですから、その解説も充実しています。

本書以外にも、より分かりやすく、噛み砕いた書も書店に並んでいますので、併読すると更に理解が深まります。ただし、より正確に内容を知ることが必要なとき(あなたは、あなたが思っている以上に法律に関わっているんですよ)に本書を手許に置いておくことを薦めます。しかも薄いので、理解し易いです。

本書同様の書を読むときは、必ず「会社法」施行後に対応した書を読んで下さい。

●おすすめ度→★★★★☆

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『民法Ⅲ』

《あしたのための読書:法律・経済・会計編》

★『民法Ⅲ-債権総論・担保物権-(第3版)』 内田貴氏著

これはおもしろい!何がおもしろいって、設例形式になっていて、まるで、チャート式の数学の参考書を解いているようだ。図説も豊富で、実務と対比した理解がしやすい。次の項目、次の項目・・・と吸い込まれていく。

●二代目社長のあなたの身の回りでは、実は法律があふれかえっています。特に、取引先・金融機関との商取引の際は、必ず「契約書」を交わします。その契約書を理解どころか、読みもせずに捺印していませんか?「契約書に捺印する」という行為を安易に考えていませんか?

余談ですが、国際事業部に勤務のときは、すべて<サイン>でした。印鑑のように、社長でない人が社長印を押すことが、サインではできません。もちろん、直筆です。従って、社長のサインをもらうのに、担当者は契約書を熟知していなければならず、社長本人もそのことに対して当たり前のように耳を傾けます。印鑑だと他人事で、サインだと自分のことのように感じてしまうんですかねえ?あなたも、会社の印鑑を安易に捺印しているのに、カード払いのときのサインを慎重にしていたりしませんか?「捺印もサインも同じ効力があるんですよ!」また「実印も認印も同じ効力があるんですよ!」

●契約書に捺印・サインするときは、内容を熟知して実施しましょう!あなた一人のためだけではありません。社員、その家族。あなたの会社を頼りにしている取引先。会社を支えてくれる株主・保証人。みんなのためです。軽率な捺印・サインは禁物です!

●本書の著者内田貴氏は、東京大学教授として、現在の民法界を引っ張っていっている存在です。本書も学生、法律家を目指す人のバイブルとなっていますが、実務家が読んでも非常に読みやすい記載となっています。

債権とは何か。金融取引に関する事項。保証。担保・質。などなど、あなたが今まで無意識に捺印していた取引先や金融機関との契約書の「実質的な効力」を理解するのに、助けとなります。

実際の経営では、相手との力関係があります。しかしながら、契約書を交わす際に、その効力(法律的意味)を理解しているのといないのでは、交渉内容に雲泥の差があり、それはすなわち、あなたの会社の命運を左右することになります。

●今度あなたが契約を交わす際に、是非事前に必要項目を読んで臨んでいただきたい書です。知識の取得という視点からも読み物としてもおもしろいですよ。

●法律書を購入される際は、「最新の法律に対応」した書を購入して下さい。目的の書名が決まっている場合も、「最新の版」であるか確認して下さい。よく古い書をそのまま利用されているケースを見ますが、あなたは法律家ではなく、実務家です。最新の法律に対応していないと実務上意味がありません。現在の会社法などはその典型です。自己・会社の命運を左右する事項への投資は惜しまずに!

●おすすめ度→★★★★★

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●当記事掲載時点での最新版(第3版)を掲載していますが、購入されます場合は、購入時点での最新版をご確認下さい。(僕の本棚に掲載の法律関係書も同様に最新版であるかご確認のうえご購入下さい。)

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